ストックホルムオリンピック予選会で、がむしゃらにに走り、なんと世界記録を22分も縮めて一位でゴールした中村勘九郎さん演じる金栗四三(かなくりしそう)。
自分への挑戦の意味で出場した予選会でしたが、この優勝によって、四三にオリンピック参加という流れがやってきます。
とうとう、日本におけるオリンピックの歴史が始まろうとしているのです。
播磨屋の足袋
オリンピック予選会の後に、播磨屋に行って足袋についての不満を言い、店主の黒坂辛作(ピエール瀧さん)を怒らせてしまった事を反省し、四三は謝罪しに、再び播磨屋を訪れます。
勇気を出して来たものの、いざとなるとなかなか店に入れないでいる四三でしたが、そこに偶然現れた人力車、車夫の清さん(峯田和伸さん)が来て、四三を店の中に引きずりこみます。
ケチをつけるつもりはなかったと、前回の失礼を必死になって詫びる四三に、店主の辛作は一足の足袋を投げつけます。
それは、底を何重にも厚くした特製の足袋でした。
播磨屋の足袋のせいで負けたなんて言われたらかなわないからな!という店主の辛作に、大きな声で礼を言う四三なのでした。
苦戦するオリンピック出場への道
羽田競技場で開催されたオリンピック予選会から1ヶ月がたち、嘉納治五郎(役所広司さん)は、東京高等師範学校の校長室に関係者たちを集め会議を開きます。
東京高師の教授永井道明(杉本哲太さん)、オリンピック参加に向けて治五郎の右腕となっている大森兵蔵(竹野内豊さん)とその妻、大森安仁子(シャーロット・ケイト・フォックスさん)らも出席し、オリンピック出場者選定について話し合います。
長距離では、マラソンで優勝した金栗四三と2位、3位の選手、短距離では三島弥彦(生田斗真さん)ともう一人の五人の選手の参加が妥当ではないかという話になりましたが、そうなると滞在期間を1ヶ月として五人で5千円(現在ならば1400万円程度)もの大金が必要になります。
そのような金額を工面することは、到底不可能でもあり、また、四三の世界記録は、計測間違いではないかったのかという憶測、噂も飛び交っているという状況です。
嘉納治五郎は、何としてでも、そのような汚名は返上しなくてはいけないと断固とした態度で主張し、出場選手は、裕福な家の御曹司でもある三島弥彦と金栗四三の二人にしようという結論に行き着きました。
そうすれば、弥彦は自費参加が可能となり、四三一人分の渡航費を工面すれば良いからということもあってのことでした。
金栗四三と三島弥彦の二人をオリンピック代表選手にしようと決定したところで、金栗四三は校長室に呼ばれ、オリンピックへの出場要請を受けます。
が、オリンピックの意味すら全くわかっていなかった四三は、その話を断るのです。
四三は、オリンピックが何かも知らないし、マラソンの世界記録が何時間何分何秒なのかも知らないと言うのです。
自分はただ、10里という、自分が経験したことのない距離を走ることで、日頃の練習の成果を試したかっただけだと説明します。
「オリンピックとは何ですか?」と尋ねる四三に、嘉納治五郎はこう答えます。
「言葉も文化も思想も異なる若者たちが、互いを認めあい、国の代表として競い合うのだ」
何を勘違いし、思い込んでしまったのか四三は、「負けたら切腹ですか?それだけはお許しください」と必死に断り、治五郎は落胆します。
次に三島弥彦を呼び、オリンピック出場についての話をしますが、弥彦も固辞するのです。
自分は今年は東京帝国大学の最終学年であり、たかが駆けっこごときで、学校を休んでいたら落第してしまうと言うのです。
当時の文部省は、スポーツなど遊びに過ぎないと言う見方をしており、国立大学の学生がオリンピック参加などとんでもないと言う反対の意見を持っていたため、弥彦にも釘をさしていたのでした。
そんな折、嘉納治五郎に、さらなる苦難が襲い掛かります。
清国で皇帝溥儀が退位する「辛亥革命」が起き、1911年(明治45年)の1月1日には孫文の率いる革命派が中華民国を建国しました。
嘉納治五郎は、多額の借金をして「弘文学院」を設立し、中国からの留学生を受け入れていましたが、その革命と中華民国の建国によって、清国からの100人の留学生に対する援助が絶えてしまい、留学生たちは国に帰ると言い出していたのでした。
治五郎は、中国の留学生たちに、今戻れば、身に危険が及ぶ、祖国の未来のために留学してきたのだから学費に関して心配などせずに日本に残れと熱弁をふるいます。
そうして、治五郎は、留学生を援助するために、更なる借金を抱えるのでした。
オリンピック出場を決心
四三は、オリンピック予選会で受け取った優勝杯を返却しようと、校長室に嘉納治五郎を訪ねてやってきました。
治五郎は、冷静に四三の説得を始めます。
日本の運動競技は、欧米諸国に遅れをとっているが、マラソンにこそその活路があると、治五郎が率いる大日本体育協会は考えているのだと話します。
学生が先頭になって、日本全体の体育熱を煽り、そして日本人が世界に通用するのだと奮い立たせるべきなのだと、四三を諭すのです。
勝てなくてもいい、最善を尽くし、日本にとって黎明の鐘になって欲しいという治五郎の言葉に、四三の心は大きく動かされ、オリンピック参加を決意します。
「金栗は行きます!勝敗にはこだわらず、最善を尽くしに行きます!」
治五郎と四三は固い握手を交わします。
そこで治五郎は、おずおずと言葉を切り出します。
「渡航費についてなんだが、君が自費で行くのはどうだろうか?」
その提案に逆らうことができなかった四三なのでした。
寄宿舎に戻った四三は、渡航費がいくらかかるのかを調べ始めます。
そこに、東京高等師範学校の助教授、可児徳(古館寛治さん)が現れ、どう少なく見積もっっても1800円(現在の500万円程度)かかるというのです。
その金額に驚愕する四三でしたが、故郷熊本にいる兄、実次(中村獅童さん)の逆鱗に触れると恐れつつも、費用の工面を頼む手紙を書くのでした。
円喬に弟子入りした孝蔵
橘屋円喬(松尾スズキさん)に弟子入りをした美濃部孝蔵(森未来さん)は相変わらず、師匠を乗せた人力車を毎日引いていました。
美濃部君は好きな噺はあるの?と円鏡が尋ね、車の上で「富久」を語り始めます。
稽古をつけてもらえるのかと思い、嬉しくなった孝蔵でしたが円喬はすぐに噺をやめてしまいます。
そして円喬は孝蔵に言うのです。
「耳で覚えてもダメよ。噺っていうのは脚で覚えるのよ。お前さん、なんのために毎日、浅草と日本橋を行ったり来たりしてるんだい?」
最初は、円喬師匠の言葉の意図がわからなかった孝蔵でしたが、日本橋から浅草まで実際に足を使って歩いて見なくては、落語の中の籠城人物の気持ちがわからない、だから孝蔵に毎日車を引かせていたのだと気づくのでした。
それからは、孝蔵は毎日、遠回りをして見たり、ゆっくり走ってみたりしながら、背中で師匠の噺を聞きながら落語を学んでいくのでした。
ストックホルムに向けての練習
足袋の修理に播磨屋を訪れた四三は、店主の辛作に、オリンピック本番の道と似たところを走って練習してはどうかと勧められます。
ちょうど、播磨屋にきていた車夫の清さんもその話に賛同します。
なるほどその通りだと思った四三は、ストックホルム帰りの永井道明の話を思い出すのです。
「水の都だと舎監どのは言うとりました。あ、それに石畳があると言うとったばい!」
水といえば、芝、そして石畳といえば、日本橋だと清さんたちは言います。
そこで、周辺の道に精通した清さんが、四三に練習コースを勧めてくれます。
寄宿舎のある御茶ノ水から上野を通って浅草に向かい、そこから蔵前方面に行って日本橋を抜けて芝方面へ。
それ以来、四三は、毎日そのコースを走り続けるのです。
孝蔵もまた、売れっ子の師匠を乗せて、浅草、上野、日本橋と寄席を周り続けているのでした。
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