2018年11月23日から放送を開始し、2019年2月1日に第20話の最終回を迎えたJTBCドラマ「SKYキャッスル」は、韓国に一大シンドロームを巻き起こしました。
競争激化した受験戦争を背景に韓国の大学受験の在り方、大学受験方式の抱える問題浮き彫りにし、皮肉り、視聴者達に大きな問題意識を投げかけました。
初回放送ではたったの1.727%だった視聴率が、回を追うごとに話題となり、最終回にはなんと23.779%にまで上がりました。
これは非地上波放送では、あのトッケビを抜く最高記録です。
日本でも2019年4月にはCSでの放映開始も決まったそうです。
今回は、韓国で絶大なる注目を浴びた、この「SKYキャッスル」を何倍も楽しむため、あらすじや、登場人物・俳優・女優紹介、韓国における入試制度の実態などを細かくご紹介していきたいと思います。
ドラマタイトル・SKYキャッスルの意味
最初、このドラマのタイトルを聞いた時には、何を意味するのか分かりませんでした。
単純に、空のお城なのかしら?と思ったくらいです。
SKYキャッスルとはドラマの舞台となる、韓国で0.1%ほどの上流階級が住むという高級住宅地の名前です。
が、実は、SKYとは空の意味ではなく、韓国の超一流大学であるソウル大学、高麗(こりょ)大学、延世(よんせ)大学のそれぞれの頭文字を取ったものでした。
日本の大学に例えると、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学というポジショニングにあたるのがこの三つの大学です。
実際にドラマの中で実名とし出てくる名前は、入試コーディネーターのキム・ジュヨン先生がソウル大入試査定官という設定以外はないのですが、この三つの有名大学の頭文字をとったSKYを使うことで、より受験戦争の背景を描いたドラマであることを強調したかったのかもしれません。
ドラマが繰り広げられるSKYキャッスルは、韓国の中でも選ばれたエリートが集まり住む高級住宅地です。
ソウルには、清潭洞(チョンナムドン)や大峙洞(テチドン)に代表されるような、セレブが住むような高級住宅地がありますが、このSKYキャッスルは、もう少し郊外の緑も豊かな場所にあるという設定で、それぞれの家が、それこそお城のように大きく豪邸です。
ソウル特別市の面積は605.21平方キロメートルで、2015年の統計では990万人です。
一方、東京の23区の面積は626.7平方キロメートルで、人口は2016年1月1日時点で921万人です。
つまり、ソウル市は、ほぼ東京23区と同じ大きさ、同じくらいの人口ですから人口密度はほぼ変わらないことになりますから、SKYキャッスルのような場所は実在しないとは思われますが、この豪華さがまた、ドラマの物語の演出をしてくれています。
大韓民国の人口の中で0.1パーセントの選りすぐられた人たちが、集まり住んでいるという、この韓国の一般的な生活から隔絶されたお城のようなエリアが、物語の舞台となるSKYキャッスルです。
(2018年時点で韓国の人口は5,164万人なので、0.1パーセントは、5.164万人となりますので、SKYキャッスルにその人数が居住しているという意味ではなく、そのくらいの上流層が住んでいるという意味と思われます。)
地元韓国での反応は、いくら医者や大学教授だからといって、こんな財閥のような生活ができるわけはないという意見も多かったようですが、秘められた感覚や、話の展開をドラマチックにしてくれる効果的な舞台設定です。
ドラマのあらすじ
全てのネタバレをするつもりはありませんので、ドラマの面白さを知っていただく為に、序盤である第1話から第4話までのあらすじをご紹介いたします。
SKYキャッスルに住む、親しい4家族。
4人の夫は、全員チュナム大学勤務で、3人は医学部教授、そして1人はロースクールの教授です。
4人の妻達は、全て専業主婦で、とにかく子供達の進学、教育に熱心。
広々としたお城のような家に住み、どの家庭でもお手伝いさんがいる・・・そんなハイソな4ファミリーなのです。
4人の主婦の中でもリーダー的存在なのは、一人息子をソウル医大に入学させた、医学部教授パク・スジャンの妻、イ・ミョンジュです。
韓国の最難関大学ソウル大の、しかも最難関学部の医学部に息子を合格させたイ・ミョンジュは、他の3人の主婦から尊敬され、憧れられています。
日本でも人気があり、韓国でもリメイクされたドラマ、白い巨塔では、妻達の序列は、夫の職場である大学病院での地位の序列から来ていましたが、このSKYキャッスルでは、子供の大学進学の成功で序列が決まっているのです。
リーダー格のイ・ミョンジュに、とりわけ取り入ろうとするのが、チュナム大学整形外科教授であるカン・ジュンサンを夫に持つハン・ソジンです。
二人の間に娘が二人いますが、長女のカン・イェソは、自慢の成績優秀な娘でソウル医大進学を目指しているからです。
イ・ミョンジュが息子を難関のソウル医大に合格させた秘訣をどうしても知りたいハン・ソジンは、自費で、イ・ミョンジュの誕生日パーティを開催します。
これが、単なる誕生パーティではなく、高級レストランを貸し切り、高級フランス料理のフルコース、そしてヴィオリンやチェロなどの弦楽奏者まで揃えて生演奏で演出するという超豪華なパーティ。
そして、この豪華な誕生日パーティは、4家族全員、大人、子供含めて総勢13人出席という大掛かりなものでした。
豪華な食事が始まり、高級ワインも飲みながら、少し酔いの回ってきた夫の一人は、まるで韓国の国を動かしているのは、自分達だと発言したりもし、あまりのおごった発言に、音楽を演奏する女性達も思わず顔をしかめる場面も。
しかし、ハン・ソジンは、パーティが始まる前に、用意周到に、演奏者達に、この場で聞いたことは口外しないという念書を取り付けていました。
パーティも宴たけなわになった頃、イ・ミョンジュの夫は妻に、クルーズ旅行のチケットをプレゼントします。
義母と一緒に、羽を伸ばして来いという豪華なそのプレゼントに、ハン・ソジンを含む3人の妻達は憧れの気持ちが膨らみます。
この豪華誕生パーティ開催のお陰もあり、ハン・ソジンはイ・ミョンジュにソウル医大合格100パーセントの秘訣を教えてもらうことが出来ます。
それは、イ・ミョンジュが息子パク・ヨンジェにつけた、入試コーディネーターを獲得するというものでした。
この敏腕の入試コーディネーターは単に、紹介されたからといって、子供の勉強を見てくれるものではありません。
入試コーディネーターの数名を紹介するVVIPだけが参加できる銀行主催の催しに赴き、そして何人もいるコーディネーターの中で、一人のコーディネーターを選ぶのです。
そして、選択したコーディネーターに、母親達は面接をされ、その中で選ばれなくてはならないのです。
コーディネーターは誰にするか、そしてどのように振る舞えばいいのかなどの、徹底的な指導を、イ・ミョンジュンに受けたハン・ソジンは、競争をくぐり抜けて、敏腕コーディネーター、キム・ユジョンから娘を指導してもらう権利を勝ち取ります。
(このキム・ユジョンは、日本のテレビドラマの女王の教室の天海祐希さんが演じた女性教師のようなイメージの、表情を全く変えない冷静沈着な教師なのです。)
これで、娘のソウル大医大合格は現実のものになったと、ハン・ソジンは満足感に浸ります。
そしてある日、ハン・ソジンと、チン・ジヒ(夫はソジンの夫と同じくチュンナム大学整形外科教授で、ソジンと最も仲良くしている主婦)が家の前で世間話をしていると、クルーズ旅行がまだ続いているはずのイ・ミョンジュンが戻ってきます。
どうしたのですか?とハン・ソジンとチン・ジヒに尋ねられ、流石に長くて切り上げてきたと答え、お土産を渡すイ・ミョンジュン。
若干の違和感を覚えながらも、そんなものかとイ・ミョンジュンの家を後にする二人なのでした。
そして、その夜遅く、ベッドで寝ていたハン・ソジンは銃声の音で目をさまします。
イ・ミョンジュンがSKYキャッスルの敷地内で猟銃自殺をしたのでした・・・。
イ・ミョンジュンの死は、他の3ファミリーに大きな衝撃を与えました。
残された夫のパク・スチャンは酔って荒れて、妻が自殺したのは、息子であるパク・ヨンジェのせいだと言います。
そして、あっという間に、大学病院もやめ、SKYキャッスルを引っ越してしまうのでした。
パク・スチャン一家の後に、チュナム大学神経外科の教授に赴任したファン・チヨンと、妻で童話作家であるイ・スイム、一人息子のファン・ウジュが引っ越してきます。
ハン・スジン達のように専業主婦ではなく、童話作家でもあるイ・スイムは、虚勢を張ることもなく自然体の女性です。
引越しの挨拶に、トク(韓国のお餅)をビニール袋に入れたものを配り、なんとセンスが無いのかとハン・スジンとチン・ジヒは呆れてしまいます。
でも、今までは、仲間外れ的に扱われてきたノ・スンヘ(夫はチュンナム大学ロースクール教授で、二卵性双生児の二人の息子を持つ)は、イ・スイムに近寄ります。
そしてイ・スイムは、ハン・ヘジンに対して、高校の同級生だったクァク・ミヒャンじゃないかと言います。
ハン・ヘジンは、元から名門の家出身のように、普段は振舞っているのですが、実は、貧しく、父親にもひどい扱いを受けていたという辛い過去があり、その過去を隠すために、本名のクァク・ミヒャンという名前を隠して生きてきました。
きっぱりと、自分はハン・ヘジンだと否定するのですが、ある時、ヘジンが怒った時の口ぶりから、イ・スイムはパク・ヘジンが、やはりクァク・ミヒャンだと確信します。
そんな中で、ハン・ヘジンは、偶然にもイ・ミョンジュンが自殺した理由を知ることとなります。
イ・ミョンジュンの自殺の理由は、その息子パク・ヨンジェにありました。
幼い頃から、厳しく勉強をするように教育され続けてきたヨンジェは、母親のミョンジュンを憎むようになっていました。
そのユンジェについた入試コーディネーターのキム・ジュヨンは、ユンジェにこう語ったのです。
「ソウル大学合格することが、復習になるのよ。合格して、母親が最も幸せの絶頂になっている時に、絶縁すれば、それが最も効果的な復讐になるのだから。」
その言葉を胸に、必死に勉強してソウル医大に合格したユンジェは、家を出てしまい、自宅で家政婦をしていた女性と同棲を始めていました。
自分を探しにきた母親ミョンジュンに、「あんたの息子でいることが地獄なんだ」と絶縁を宣言します。
クルーズ旅行に出かけていたと思われていたミョンジュンは、実は息子ヨンジェを探して訪ねてっていたのです。
家に戻ってから、またヨンジェに連絡を取ろうと、ヨンジェが働いていた先に電話をしたミョンジュンでしたが、ヨンジェは勤め先を辞めて、出て行ってしまったと聞かされます。
そうして絶望にかられたミョンジュンは、猟銃自殺を図ったのでした。
その事実を知った、ハン・ヘジンは、入試コーディネーター、キム・ジュヨンの元に訪れ、平手打ちを食らわし、自分の娘は任せられないと激昂し、一方的に契約を打ち切ります。
どうしてそんな勝手なことをしてくれたのだと泣き叫ぶ娘に、自分がなんとかするからと約束するハン・ヘジンでしたが、八方手を尽くしても、その代わりとなるコーディネーターはおろか、助けてくれる人すら見つかりません。
なんとかならないものかと、手作りのお菓子の入った重箱の下に、賄賂を隠し、キム・ジュヨンに届けるハン・スジンでしたが、それも後から秘書を通して突き返されてしまいます。
必死にすがる思いで、入試コーディネーター、キム・ジェヨンの事務所に訪れたハン・スジンは土下座をして頼み込みます。
土下座にも怯まないクム・ジェヨンは、仕事を引き受けるための条件を突きつけます。
「(自殺したイ・ミョンジュンの息子)ヨンジェが、母親に対してした事を、自分がされても甘んじて受けとめられますか?」
なんとしてでも敏腕入試コーディネーター、キム・ジェヨンを獲得したい気持ちと、娘はそんな風にはならないという自信を持っているハン・ヘジンはその条件をのみます。
そして、冷徹な家庭教師・入試コーディネーターの指導は始まるのでした・・・。
登場人物・俳優・女優紹介
ドラマ、SKYキャッスルは、SKYキャッスルという高級住宅地に住む4つの家族と、入試コーディネーターを中心でに展開されます。
1.ハン・スジンの家族
ハン・スジン役:ヨム・ジョンアさん (Yum Jung Ah)(염정아)
1972年7月8日生まれの46歳(2019年2月現在)です。
1991年のミス・コリア出身、身長170cm、体重47kgのすらっとした美人女優さんです。
日本で韓国ドラマ好きな人には、2011年に韓国MBCで放映されたロイヤルファミリーが最も馴染みのある出演作品かもしれません。
主役のチソンさんが必死で守ろうとするキム・インスク役を演じました。
ハン・スジンは、銀行員の父と、名門出身の母との間に生まれ、12歳の時にオーストラリアに移民し、シドニー大学の教育学科を卒業した後、カン・ジュンサンと結婚したと知られています。
料理もプロ級で、家の中のスタイリングなども完璧ですが、家事ばかりしている専業主婦でいようという考えは微塵もなく、二人の娘の学業コーディネーターとして日々忙しく過ごすプロの主婦です。
単に白馬に乗った王子様が現れるのを待っているような王女様ではなく、能力も権力もつかんだ女王になれる王女に、二人の娘を育てようとしています。
が、実は、本名クァク・ミヒョンという名前と、辛く貧しい過去を隠し、現在の夫とは、夫が結婚している女性がいたのにも関わらず、略奪愛に成功し、スジンを人として扱おうともしない義理の母をも屈服させて結婚したのでした。
カン・ジュンサン(ハン・ソジンの夫)役:チョン・ジュノさん (Jung Jun Ho)(정준호)
1970年10月1日生まれの48歳(2019年2月現在)です。
183cm, 79kgのこの中堅俳優さんは、日本で最も知られているのは、2009年のドラマ、IRIS(アイリス)でのチン・サウ役でしょう。
今回の役は眼鏡をかけて、ヒゲをはやしているせいか、私も最初は分かりませんでした。
声は、聞き覚えがあると思っていたんですけどね。
カン・ジュンサンは小さい頃からいつも成績はトップ、そしてソウル医大を卒業して、現在は、チュナム大学病院整形外科の教授であり、外科長です。
素晴らしい業績をもつ医者の父と、音大でピアノを教える母の間に生まれた一人息子でいつも自分が正しいと信じ、将来の目標はチュナム大学病院長という野心を持っています。
カン・イェソ(スジンとジュンサンの長女)役:キム・へユンさん (김헤윤)
ドラマの中では17歳の女子高校生役ですが、1996年11月10日生まれの22歳(2019年2月現在)です。
2013年に子役からデビューして演技を続けていますが、今回のSKYキャッスルで注目を浴びるようになりました。
あのtvNのトッケビにも15話にだけ出演しています。
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カン・イェソは、父親の明晰な頭脳と、母親の野心を譲り受け、勉強するときには、物凄いエネルギーを出すという優等生。
名門シナ高校に首席で入学した、母親にとって自慢の娘です。
ソウル医大に進学し、ソウル医大病院の教授になるという夢を持っています。
カン・イェビン(スジンとジュンサンの次女)役:イ・ジウォン(이지원)さん
ドラマの中では中学生役、そして本人は2006年8月30日生まれの12歳(2019年2月現在)です。
2014年の映画でデビューし、その演技力が大きく評価されました。
カン・イェビンは、いわゆる頭脳明晰の優等生ではありませんが、反骨精神のある少女です。
いつでも辛口の発言をし、大人の話には毎回、なんで?と尋ねるような子供です。
虚勢を張るSKYキャッスルの大人たちの言動を、小馬鹿にすらしています。
でも実は、姉のイェソにばかり母親のスジンの関心が集まっていることに、心を痛めているのです。
2.イ・スイムの家族
イ・スイム役:イ・テランさん(Lee Tae Ran)(이태란)
1975年3月25日生まれの43歳(2019年2月現在)です。
170cm, 52kgの、この女優さんもまた、すらっとした方ですね。
高校を卒業して平凡なOLとして働いていましたが、1997年のSBSトップタレント大会で大賞を受賞してデビューを果たしました。
最近では、2013年のKBSドラマ「王(ワン)家の家族たち」や、同じく2013年SBS「結婚の女神」で、イ・テランさんの熱演をご覧になった方も多いことと思います。
イ・スイムは、家族とともに、新しくSKYキャッスルに引っ越してきました。
SKYキャッスルの奥様方は皆、専業主婦なのに、イ・スイムは童話作家という職業を持ち、普段はいつもジーンズをはき、気さく、純粋、素朴そのもの性格の持ち主です。
孤児院を運営する両親のもとで育ち、他人に対しての愛情や、配慮を持ち、いつも前向きな活発な女性です。
ファン・チヨン(イ・スイムの夫)役:チェ・ウォニョンさん(최원영)
1976年1月10日生まれの43歳(2019年2月現在)です。
183cm、73kgのチェ・ウォニョンさんは、2002年に映画出演で芸能界デビューをしました。
その後、数々の作品に、味のある脇役として出演しています。
日本でも人気の高かった2013年SBSのドラマ「相続者たち」では、主人公のキム・タン役のイ・ミンホさんの実家である帝国グループの秘書室長ユン・ジェホ役を好演していました。
일본팬분들의 귀하고 정성어린 선물까지..덕분에 뜻깊고 행복한 생일을 보냈습니다.
주변에서 축하해주신 모든분들께도 너무 감사드리고,, 새해 건강하시고 행복한 한해가 되길 진심으로 기원하겠습니다. 고맙습니다.(-.-)(_._)”꾸벅 pic.twitter.com/gD6bDcfwob— choi won young 최원영 (@bigapple3pp) January 12, 2019
ファン・チヨンは、12歳の時に両親を亡くし、イ・スイムの両親が運営する孤児院で育ちました。
学費を稼ぐために、新聞配達などの多くのアルバイトをしながら勉強を続け、医大に合格し医者となった秀才です。
人間味、温かみのある性格の持ち主で、心から愛する妻を亡くし、一人息子のウジュを男手一つで育てていましたが、スイムと再会し再婚します。
ウジュがソウルの名門シナ高校に合格したため、家族一緒に暮らさなければという事で、チュナム大学病院長のスカウトを受け入れて、チュナム大学病院に勤めることとなり、SKYキャッスルに引っ越してきました。
ファン・ウジュ(イ・スイムとファンチヨンの一人息子)役:チャニさん (찬희)
2000年1月17日生まれの19歳(2019年2月現在)です。
FTアイランドや、CNBLUE、AOAなどが所属するFNCエンターテイメント所属のSF9というアイドルグループのメンバーです。
韓国Mnetのデビューサバイバル番組「d.o.b」で選抜された9人組のグループで2016年にデビューし、チャニさんは末っ子でサブラッパーを担当し、175cm,58kgです。
現在は、アイドルグループのメンバーとしての活動が中心ですが、チャニさんは、もともと子役俳優として活躍しており、2009年MBCの善徳女王で子役デビューしていますので、俳優としても頑張っています。
ファン・ウジュはファン・チヨンとその亡くなった妻との間の一人息子で、家庭教師などつかなくても、勉強も常に一番、そして級友たちとの関係もその、親しみやすい性格から一番という明るく、優秀な少年です。
小さい頃から思慮深く、7歳の頃から病気の母親の病床で童話を読んであげるような優しい子供でした。
母親が亡くなり、しばらくしてから新しい母親となった、イ・スイムとは、最初はうまくいきませんでしたが、父親を明るくしてくれるスイムに対して段々と心を開くようになり、今では、仲睦まじい母子関係になっています。
3. ノ・スンヘの家族
ノ・スンヘ役:ユン・セアさん(윤세아)
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1978年1月2日生まれの41歳(2019年2月現在)の美人女優さんです。
164cm、45kgの華奢なユン・セアさんは2005年に映画でデビューしました。
主人公と三角関係にある役や、悪役などを得意とし、日本で最も有名な作品としては、チャン・ドンゴンさん主演の2012年SBSドラマ「紳士の品格」の中でのホン・セラ役でしょう。
振る舞いも、服装も、姿も全てがシックな女性、ノ・スンヘは、国会議員を父に持ち、筋金入りのお嬢様育ちで、しとやかで従順な性格の持ち主ですが、実は人知れず、心の奥には暗い影を抱えています。
父親のいう通り女子大に入学し、父親の望む通りに、司法修習生だったチャ・ミニョクと結婚し、娘一人(現在は海外留学中)と、双子の息子をもうけます。
文学の博士号を持ち、人文学の講義をする夫に、地位的な満足感は持っていますが、価値観の違いにいつも悩まされています。
チャ・ミニョク(ノ・スンヘの夫)役:キム・ピョンチョルさん(김병철)
キム・ピョンチョルさんは1974年生まれの無名時代のとても長かった俳優さんです。
日本でも大人気だった2016年KBSドラマ「太陽の末裔」でソン・ジュンギさん演じる主人公ユ・シジンの上司役パク・ピョンス役で注目を集め、続いて2016年末から2017年にかけてのtvN人気ドラマ「トッケビ」で個性的な悪役パク・ジュンヒョンを演じ、視聴者へその存在を確かなものにしました。
チャ・ミニョクはチュナム大学ロースクールの教授であり、野心の塊のような人物です。
司法試験に最年少で合格し、政治家になりたいがために、検事になりました。
頭の回転が速く、極端に利己主義でありながら、それを表には出さずに、人の情や幸福が大切であると口では語ります。
国会議員の座を狙っており、検事や弁護士は合わないと、チュナム大学のロースクール教授となり、SKYキャッスルに住むようになって2年。
名門出身の周囲の人々に囲まれ、クリーニング店出身という自身の生い立ちにコンプレックスを持ち、韓国のケネディ家を自ら作るのだと野心を燃やしています。
チャ・ソジュン(ノ・スンヘとチャ・ミニョクの双子の息子・兄)役:キム・ドンヒさん(김동희)
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#soda #소다카메라 #NA1 #TR1 👍🏻
1999年6月13日生まれの19歳(2019年2月現在)の現役大学生の俳優さんです。
2018年にウェブドラマでデビューし、SKYキャッスルでテレビドラマに本格的デビューを果たした新人で、2PMやTWICEなどが所属するJYPエンターテイメントの所属です。
チャ・ソジュンは漫画の主人公のように綺麗な顔をしたシナ高校の生徒です。
性格も純粋な女の子のようで、人と争うことが嫌いで読書をして、想像を巡らすのが大好きです。
父親のチャ・ミニョクを恐れ、父親の前では喋ることもままなりませんが、母親とは仲睦まじい間柄です。
数学が苦手なので、毎晩父親が行うスタディルームでの数学の授業が苦痛でたまりません。
チャ・キジュン((ノ・スンヘとチャ・ミニョクの双子の息子・弟)役:チョ・ピョンギュさん(조병규)
1996年4月23日生まれの22歳(2019年2月現在)の若手俳優さんです。
小さい頃は、サッカー選手を夢見て、ニュージーランドにサッカ留学をしたほどでしたが、ある時からサッカーに興味を失い、演技に強い興味を持つようになり芸術高校に入学しました。
2015年にドラマでデビューし、2017年のKBSドラマ「ランジェリー少女時代」で注目を集め始め、このSKYキャッスル出演でその存在をアピールしました。
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KBS cool FM볼륨을 높이고 KBS해피투게더를 시청하시면 될 것 같아요. #울상😢
チャ・キジュンは、双子の兄、ソジュンと共に、名門シナ高校の学生です。
兄とは異なり、性格も、外見も活発で、父親に似て勝負に対する欲も強く、成績は兄よりも優秀です。
数学は兄よりもはるかに得意としているので、父親の数学の授業はうまく切り抜けられるのですが、文学に苦手意識があり、父が毎月開催している読書会への参加が苦痛で仕方ありません。
4.チン・ジニの家族
チン・ジニ役:オ・ナラさん(오나라)
1974年10月26日生まれの44歳(2019年2月現在)、164cm、47kgのミュージカル出身の女優さんです。
1997年にミュージカルでデビューし、ロマンチックコメディのミュージカルの主役を数々演じてきました。
10年前くらいから、ドラマや映画などにも出演するようになり、SKYキャッスルで一気に認知度が高まった女優さんです。
ペクソク芸術大学音楽部ミュージカル学科でも兼任教授として学生を教えています。
チン・ジニはセクシーさと可愛さを合せ持つ華やかな女性。
江南にビルを何棟も所有する裕福な家に育ち、パリス・ヒルトンを超えるのだと、芸能界デビューしましたが、端役人生に見切りをつけ、医者であるウ・ヤンウと結婚紹介所を通じて出会い結婚し、医者の奥様におさまります。
ジニにとってのロールモデルは、ハン・ソジン。
ソジンのように、どうしたら完璧に子供の教育をマネジメントできる母親になれるのか、必死です。
ウ・ヤンウ(チン・ジニの夫)役:チョ・ジェユンさん(조재윤)
1974年9月15日生まれの44歳(2019年2月現在)、数多くのドラマや映画に出演してきているベテラン脇役俳優さんです。
個性的でコミカルな役を演じることを得意とし、韓国ドラマ好きの方なら、何度もチョ・ジェユンさんの姿を目にしているはずです。
出演作品の数なら誰にも負けていないほどですが、特に2017年からはその認知度、注目度が高まってきています。
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내 마눌 ‘찐찐’ 이랑… 사진을 넘 못찍었다. 이쁜나라 못나게 나왔네.. 나라님 미안.. ㅋㅋㅋ 오늘도 우린 달린다. #스카이캐슬 #화이팅 #오나라 #진진희 #찐찐 #우양우
ウ・ヤンウは、四人の姉のあと、父が還暦、母が50の時に生まれた男の子として生まれ、なおかつ成績も優秀だったので、大事に大事に育てられました。おしゃべりが大好きで、自分の遺伝子は「アジュマ(おばさん)」じゃないかと思っています。
チュナム大学病院整形外科の教授であり、ハン・ソジンの夫であるカン・ジュンサン整形外科長の下で、ジュンサンを立てながら働いています。
ウ・スハン(チン・ジニとウ・ヤンウの息子)役:イ・ユジンさん(이유진)
2004年12月11日生まれの14歳で、このSKYキャッスルがデビュー作の新人子役俳優さんです。
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감사합니다. #jtbc드라마 역사상 #최고 #시청률 기록!! #스카이캐슬 아직 많이 남았으니까요.드라마 계속적으로 또, 우리 #우양우 #진진희 #우수한 가족도 사랑 듬뿍듬뿍 주세여~~~♡♡♡
ウ・スハンは、母親の愛情が強すぎるせいなのか、子供っぽい所の多い中学生。
図体は大きいのですが、自分への自信がなく、意欲もなく、成績も下の方、自分は何やってもダメなんだと思っています。
5. 入試コーディネーター
キム・ジュヨン役:キム・ソヒョンさん(Kim SeoHung)(김서형)
1973年10月28日生まれ、45歳(2019年2月現在)のベテラン女優さんです。
1994年のKBS公開タレント募集の16期生として芸能界入りしました。
その後、演技評価はされながらも大きな人気を得ることはありませんでしたが、2009年SBSドラマ「妻の誘惑」でシン・エリという悪女役を熱演し、主役を上回るほどの注目を浴びることになりました。
その後は、日本でよく知られている作品として「奇皇后」の皇太后役でしょう。
今回のSKYキャッスルでは、表情を一切変えない冷徹、そして冷静沈着な入試コーディネーター、キム・ジュヨン役を熱演し、韓国に一大旋風を巻き起こし、キム・ソヒョンさんにとっても「妻の誘惑」以来の最盛期となりました。
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#sky캐슬
キム・ジュヨンは、ソウル大学入試査定官出身、生徒の合格率100%というベテラン敏腕コーディネーターです。
他のベテラン入試コーディネーターの中でも飛び抜けた能力と数億円にも登ると言われる料金の高さでも有名です。
しかし、お金があるからといって、自分の子供を任せたいと希望しても、簡単にこのコーディネーターは雇う事はできません。
書類選考と親の面談をパスして、ようやくキム・ジュヨンに自身の子供の管理を任せることが出来るのです。
単に勉強を見るのではなく、内申書対策はもちろん、部活動、ボランティア、進路活動、そして、健康、睡眠、心理、服装、私生活の細部まで徹底的に管理をします。
そしてまた、自殺したイ・ミンジュの息子、パク・ユンジェをソウル大学医学部に合格させたコーディネーターでもあります。
任された子供を志望校に合格させるために、手段を選ばず、ポーカーフェイスで何を考えているのか計り知れず、合理的、理性的、客観的に見える反面、誰かの人生を壊す猛毒を合わせ持ったキム・ジュヨンは、大韓民国の私教育(学校ではない家庭教師や塾などの教育)の最前線に立つ女性なのです。
6. イ・ミョンジュの家族
イ・ミョンジュ役:キム・ジョンナンさん(김정난)
1971年7月16日生まれの47歳(2019年2月現在)のベテラン女優さんです。
1991年にKBSのドラマ出演でデビューしてから多くのドラマや映画の脇役を演じてきています。
一時は情報番組でリポーターも務めていました。
イ・ミョンジュは用意周到な戦略とその並並ならぬ努力によって一人息子をソウル医大に合格させ、夫の父親、夫、そして息子の三代続くソウル医大入学という偉業を達成した女性です。
そのため、SKYキャッスルの夫人たちから羨望の的になっている存在です。
上向きはそんな憧れの的にまで上り詰めた、ミョンジュでしたが、息子の勉強と夫の息子に対する厳しい態度との間で板挟みになり、もがき苦しみながらその受験戦争を乗り切ってきたのです。
パク・スチャン(イ・ミョンジュの夫)役:ユ・ソンジュさん(유성주)
1973年11月12日生まれの45歳(2019年2月現在)で、主に舞台で活躍をしている俳優さんです。
パク・スチャンは、チュナム大学病院の教授であり、企画調査室室長、神経外科長を務めています。
父親もソウル医大出身、そして自分自身もソウル医大出身です。
チュナム大学出身者が強い勢力をもつチュナム大学病院で、同じくソウル医大出身のハン・ヘジンの夫、カン・ジュンサンが唯一信じて頼りにしている先輩です。
パク・ヨンジェ(ミョンジュとスチャンの一人息子)役:ソン・コニさん(송건희)
1997年8月16日生まれの21歳(2019年2月現在)、178cm, 62kgの若手俳優さんです。
2017年にデビューしたばかりで、このSKYキャッスルで注目を集めました。
パク・ヨンジェは、ソウル医大に合格した両親の自慢の一人息子です。
が、実は祖父、父がソウル医大出身という重責と、両親の過剰な受験勉強への干渉に対して、大きな精神的苦痛の中で戦ってきました。
7. カン・イェスのライバル
キム・ヘナ役:キム・ボラさん(김보라)
1995年9月28日生まれの23歳(2019年2月現在)の若手女優さんですが、デビューは2004年という子役から活躍してきたキャリアの長い女優さんです。
キム・ヘナは名門シナ高校で、カン・イェソと校内1位、2位をいつも争うほど成績優秀で、イェスのライバルです。
父親が誰かもわからない、未婚の母の一人娘であり、闘病中の母親を抱え、貧しい生活を自分の力で支えながら生きている高校生です。
自身の校内1位の成績表を名門学習塾に持っていき、無料で講義を受ける権利を獲得したりするほどの少女です。
ハン・ウジュから好意を寄せられ、そのウジュに好意を持っているライバル、イェスとの間の三角関係が生じてきます。
そして、実は、ヘナの父親は・・・。
韓国の大学入試選考制度の実態
このドラマの背景となっている激化した受験戦争が存在している事は、韓国の人たちも嫌というほど分かっています。
そしてこの熾烈な大学受験を乗り切るには、学校の勉強だけでは困難であるという認識も高く、「サキョユク(사교육・私教育)」と呼ばれる、塾や、家庭教師、インターネット講義などの学校外の教育が必要と考えられています。
勿論、この点については、日本でも同じ現象であると言えるでしょう。
(韓国では学校での教育が公の教育という考えに対して、サキョユク(私教育)という概念があります。)
しかし、SKYキャッスルに登場する入試コーディネーターの実務は、この一般的な「サキョユク(사교육・私教育)」の範疇に入る内容ではありません。
一般的なサキョユクは、いわゆる勉強を教えるものであり、数学や、歴史や、英語などの科目ごとの能力を高めるためのものですが、入試コーディネーターが担当するのは、通称「ハクジョン(학정)」と呼ばれる、日本でいう内申書選考への対策なのです。
ハクジョン(학정)とはハクセンブチョンハプジョンヒョン(학생부종합전형)の略で、漢字に表すと学生簿総合銓衡となります。
銓衡(せんこう)とは、あまり聞きなれない熟語ですが、選考と同じ意味であり、選考は本来はこの銓衡という文字から派生しています。
銓衡の「銓」は分銅、「衡」ははかりざおの意味で、はかり調べるという意味です。
韓国には、日本のセンター試験に該当する通称「スヌン(수능)」と呼ばれる「テハクスハクヌンニョクシホム(대학수학능력시험・大学修学能力試験)」という試験(1994年度から導入)が毎年11月中旬に実施されます。
このスヌンは日本のセンター試験のように全国共通テストであり、韓国の場合は一日だけですが、まさに、その当日のみにすべてがかかった試験になります。
スヌンの成績だけで合否を決める大学もあったり、スヌンの成績も併用しながら大学独自の試験も行い、合否を決める大学もありますが、これについては日本と同じだと言えるでしょう。
この方式での選考方式を韓国では「ジョンシモジプ(정시모집・定時募集)」、通称ジョンシと呼ばれています。
が、近年このジョンシ以外にもう一つの選考方式として台頭し、その方式を導入する大学が急激に増加しているのが「スシモジプ(수시모집・随時募集)」、通称スシです。
ジョンシの場合は、スヌンの後に選考がなされるのに対し、スシの場合は、1次選考、2次選考(場合によっては3次選考まである大学もある)に分かれていますが、1次選考は、スヌンの前に行われ、2次選考はスヌンの後に行われます。
このスシでの第一次選考を通過できるかどうか、合否を決めるのが、前述の内申書選考なのです。
内申書選考というと、日本では、「オール5」などという単語に結び付くような、学校での成績が数値化され、実際の試験の点数に加算されると考えそうですが、このハクジョンの場合は、広範囲に及ぶ深い内容であり、単に科目の成績結果を反映するものではありません。
ハクジョンでは、受験生の自己紹介文と学校生活記録簿(・・・受賞経歴、創意力・体験活動状況、読書活動状況、教科学習発達状況、行動特性、及び総合意見)、そして高校の教師の推薦状を元に、志望大学の教授陣、入試査定官達が総合的に評価をし、スシの第1次の選抜を行います。
SKYキャッスルの中で入試コーディネーターであるキム・ジュヨンは、元ソウル大学の入試査定官だったと言う設定ですから、これも頷ける話ですね。
最近の傾向としては、スシの方が早期に優秀な学生を確保できるという利点があるため、ジョンシではなくスシを入試選考方式として選ぶ大学が急増しています。
2002年度の入試では、スシが28.8%,ジョンシが71.2%でしたが、年を追うごとにスシの割合が増え、2007年にはスシの割合が逆転して51.5%となりました。
その後もスシ導入大学の割合は増加し、2018年度は73.7%,2019年度は過去最高の76.2%を記録しました。
では、どのような入試のスケジュールかを2019年度の大学入試について調べてみました。
韓国を代表する公教育サイトであるEBSiによると次のようなスケジュールとなっています。
スシの選考期間:2018年9月10日(月)から2018年12月12日(水)
スシの合格者発表:2018年12月14日(金)まで
スヌン(大学修学能力試験)実施日:2018年11月15日(木)
ジョンシの選考期間: カ群、ナ群、ダ群(日本語で言う’あいう’)の3つのグループに分かれています。
カ群・・・2019年1月4日(金)から2019年1月11日(金)まで
ナ群・・・2019年1月12日(土)から2019年1月19日(土)まで
ダ群・・・2019年1月20日(日)から2019年1月27日(日)まで
ジョンシの合格者発表:2019年1月29日(火)まで
スシの選考に合格した学生は、ジョンシの選考を受ける事は不可能であるため、必然的に、スシは青田刈り選考のようになり、結果的にスシを選択する大学が増えてきているのです。
このように、韓国の大学入試選考は概ね、スシに傾いてきている中、やはり合格のために必須なのが、ハクジョン(学生簿総合銓衡)をどう攻略するかによります。
そして、そのハクジョン対策のために、対象学生に密着してハクジョンを乗り切る為に生徒を指導し、共に進んでいくのが入試コーディネーターの任務なのです。
果たして入試コーディネーターは実在するのか?
ドラマSKYキャッスルの中では、入試コーディネーターであるキム・ジュヨンは、ハン・スジンの家に訪れ、長女カン・イェソの部屋を見て、学習環境を改善するためという事で様々な助言をします。
「壁に掛ける絵はモンドリアンにした方が集中力が増す」、「机にガラスを敷いていると体温が下がりエネルギー消耗が激しくなる」など、実に細かいところまで指導をします。
イェソが誰を好きなのか、誰と仲が悪いのか、学校の中での交友関係はどうなっているのか、異性関係はどうなっているのか、全ての私生活において干渉していく事は入試コーディネーターの基本となります。
そしてドラマの中では、敏腕コーディネーターのキム・ジュヨンのコンサルティング費用は、なんと数十億ウォン(数億円)にまで上るとされています。
SKYキャッスルが放映回数を重ねるごとに注目を集めていくと共に、一体、このような入試コーディネーターは存在するのかと、韓国でも大きな関心事になり、ニュース番組でも、このような高額の入試コーディネーターが存在するのかという事が取り上げられたほどです。
実際のところ、ドラマのような入試コーディネーターの存在はベールに隠されているようです。
が、現実としては、入試コンサルタントであるとか、メンター先生などと呼ばれるようなコンサルティング業務を行う人たちが実在します。
職業名としては入試コンサルタントというのが一般的です。
ドラマの中で、キム・ジュヨンはソウル大学入試査定官出身という設定になっていますが、実際には、家庭教師や塾の教師出身の先生だったり、自分の子供を見事に高いレベルの志望校に合格させた体験を持つ母親などが、この業務についたりする例もあるそうです。
ドラマの中では、大峙洞 (テチドン・ソウル江南にある高級住宅地)の銀行が、VVIP(VIPにVがもう一つつき、超重要顧客という意味)のみを招待して入試コーデイネーターを紹介するというイベントが開催されます。
ドラマをご覧になるとお分かりになると思いますが、それはそれは盛大でなおかつ選ばれた者のみが招待状を勝ち取る事ができるというイベントです。
実際はどうかというと、ドラマの入試コーディネーターイベントは少々誇張されているようですが、大峙洞 (テチドン)や道谷洞(トドクドン・ソウル江南駅近くの高級タワーマンションで有名なエリア)にある銀行の支店では、このようなイベントが開催される事が多々あるようです。
学期の始まったばかりの時期であるとか、スシの試験の前になると、少ない場合は20名ほど、多い場合には200名にも及ぶ顧客を招待し、入試の説明を行います。
では、入試コンサルタントの対価はどれほどなのでしょうか?
ドラマの中では、アパート一軒分の価値があるという台詞も出るほどの高額のコンサルティング料金とされ、キム・ジュヨンの料金はその中でも群を抜き、数十億ウォン(数億円)とされています。
実際は、数十億台(円でいうと数億円台)とまでの料金は存在しないが、億台(千万円台)の料金は存在するというのです。
敏腕入試コンサルタントの高額な報酬としては、月あたりに700〜800万ウォン(約70〜80万円)であり、最高額としては月額1000万ウォン(100万円)レベルが実在します。
SKYキャッスルの中では、キム・ジュヨン先生は、生徒に密着して指導を行う為、一度に担当する学生は2人となっていますが、現実の世界では、このような個人コンサルタントは稀なようです。
その背景には、高額な個人コンサルタントは違法となる為、個人コンサルティングを行うよりは、むしろ多くの学生を担当した方が、報酬としては効率的だからという理由があります。
ソウルの江南教育支援庁によると、入試相談料は、1分あたり5000ウォン(約500円)、1時間あたり30万ウォン(約3万円)を越える場合もあるという事で、一流の企業弁護士の相談料を上回るような勢いです。
日本でも大学受験を目指して、塾に通うというのは一般的ではありますが、韓国のように月額70〜100万円あたりのコンサルティング料を支払うような事例は到底あり得ないのではないでしょうか?
入試コンサルタントはハクセンブチョンハプジョンヒョン(학생부종합전형・学生簿総合銓衡)、通称ハクジョンという、日本でいう内申書のような学校生活記録簿に基づいた入試選考への対策を行う業務を担います。
ハクジョンにおいて、学生の将来への夢や希望が、進路とうまく一致し、それに適した勉強、活動、非教科活動(いわゆる数学などの教科でない)を行わなければ高得点を得ることはできません。
このハクジョンで高得点を獲得するために、受験生の親は、入試コンサルタントを求めるのです。
そして入試コンサルタントの最も重要な役割は、学生に最も適した進路を選択し、導いていくことにあります。
学校生活記録簿とは、受賞経歴、創意力・体験活動状況、読書活動状況、教科学習発達状況、行動特性などで構成されます。
この学校生活記録簿の内容を濃く、高得点を上げるためのコンサルティングとはどういうものなのかを例をあげて説明しましょう。
まず、入試コンサルタントは生徒の関心事を知るために1−2時間のインタビューを行い、3つの要素に絞りこみ、その3つを総合して、その生徒の希望大学と将来なりたい職種を決定します。
例えば、ある学生が、数学キャンプなどに参加したり、数学オリンピックで賞を受賞したりしていた場合には「数学」というキーワードを選びます。
その学生が老人ホームなどでのボランティア活動や何かの活動でリーダーなど務めた場合には、「他人との奉仕」というキーワードを選びます。
そして、学校での授業において物理、化学、生命科学などの学科で聞いた興味深い内容と記録して「新素材」というキーワードをあげます。
この三つのキーワードをもとに、例えば、この学生の将来の職種は「量子ドット ディスプレイ研究員」とし、ディスプレイ市場を発展進化させていく職種と導いていくのが入試コンサルタントの大きな役割です。
量子ドット
電子を微小な空間に閉じ込めるために形成した直径数~数十ナノメートルの半導体結晶。量子点。量子箱。
[補説]電子をその波長とほぼ同じ大きさの空間に注入すると、三次元のどの方向にも自由に移動できないため、特定のエネルギー状態をとる。このエネルギー状態は、量子ドットの大きさを変えることで、ある程度自由に変化させることができるため、新しい機能を発現する素材をつくることができる。量子ドットレーザー・単電子トランジスタ・量子コンピューターなどへの応用が進められている。
コトバンクより
量子ドットディスプレー
《quantum dot display》量子ドットを利用したディスプレー。量子ドットの蛍光特性を変えることで、バックライトの光を別の色の光に効率よく変換し、さまざまな色を表現できる。テレビのディスプレーなどに利用される。
コトバンクより
このような進路選択の後、コンサルタントは10回以上にわたり、担当生徒の学科外の活動を管理していきます。
学校生活記録簿に記載される、生徒が通う高校の教師の意見欄に何を書くかも、コンサルタントが直接作成します。
驚きですが、この学校生活記録簿に記載される教師の意見欄を学生が直接作成する場合が多いそうで、その意見欄を効果的に作成するためにコンサルタントが直接作文し、その内容を学生が書き写し、高校の教師に提出するというのです。
希望する大学の学科と将来希望する職種に関連する論文や報告書を探すのもコンサルタントの役割です。
ある大学の希望する学科に、自身が希望する分野の教授が誰かを探し当て、その教授の論文を、学生がわかりやすいように要約をします。
また、難しい英語の専門用語なども学生が理解できるように教えます。
量子ドットディスプレイという職種に携わるロールモデルになるような現役で働く人物を探し出し、その人物の研究成果なども含め細かい情報を集めます。
このような情報や資料を集めた資料集は、全部で500ページ以上にもなるほどの量になります。
(ドラマでは第9話にこの資料集が登場します)
先述のような月額70〜100万円というコンサルティング料は、ほんの一部に過ぎないプレミアムコンサルティングではあるようですが、現在、韓国の入試制度であるスシで大きな比重を占めるハクジョンを乗り切るためには、入試コンサルタントの存在は欠かせません。
通常の入試コンサルタントですら、6ヶ月で100万〜250万ウォン(約10万円から25万円)に達しています。
年を追うごとに、スシの選考方式を選ぶ大学の数が増えているため、入試コンサルタントの需要も年々増え続けており、入試コンサルタント市場は少なく見積もっても800億ウォン(約80億円)にまで拡大しています。
このように、費用がかさむため、ハクジョンという選考制度は、受験生の経済環境で大きく左右される制度として、近年、世論の批判を受け続けています。
高額で優秀なコンサルタントを雇うことができれば、それだけハクジョンで高得点を獲得できるわけですから、現代版の科挙制度などと揶揄され、大きな批判の対象となっています。
批判を受けつつも、このスシを支持する大学側が増えているため、スシを実施する大学を受験する数も増えていき、そしてスシを突破するために欠かせないハクジョン対策も避けて通れないという現象が続いているのです。
単なる学科試験の点数だけで受験生の優劣をつけるのは望ましくないと、入試制度を改善するために導入されたスシの制度ですが、年を追うごとに歪んだ状況になっているのは否めないようです。
このような韓国における歪み続ける受験戦争を、誇張はあるにせよ徹底的に皮肉り、アンチテーゼを投げかけたのが、ドラマ「SKYキャッスル」であり、韓国で大きな注目を集めたのも無理はないことでしょう。
スシでは、表向きではスヌン(大学修学能力試験)の点数は反映されないということになっていますが、スシの2次選考がスヌンの後に実施されるため、結果的にはスヌンも、総合的には合否判断の大きな基準にもなっているようです。
つまり、受験生は、ハクジョンの対応もし、スヌンに向けた勉強もし、自分の希望学科に受かるための学科も強化していかなくてはならないという過酷な受験生活を余儀なくされているのです。
ドラマ「SKYキャッスル」を観ていると、その凄まじい受験対策に、目を見張り、激しいと言われている日本の受験戦争が可愛いものに見えてくる方も少なくないことでしょう。
でも、そのような歪んだ受験戦争が繰り広げられる中で、本当に人間にとって大切なものはなんなのか?を問いかけてくれるのもこのSKYキャッスルの面白さであると言えます。
間も無く、2019年4月には日本でも字幕付きで放映が開始予定が決定しました。
2018年11月から2019年2月にかけて一大旋風を巻き起こした、このドラマ「SKYキャッスル」を、是非堪能してはみませんか?
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