中田久美(なかたくみ)監督の率いる全日本女子バレーボールチームが参加する第18回バレーボール世界選手権「2018世界バレー」女子大会が、2018年9月29日(土曜日)に日本で開幕します。
2020東京オリンピック開幕まであと2年を切り、世界レベルのスポーツに大きな注目が集まる中、2010年以来2大会ぶりの日本で開催される2018世界バレーには日本中の期待が大きく注がれそうです。
現在の全日本女子チームメンバーの中、最年少のエースとしてめきめきと実力を上げてきているのが黒後愛(くろごあい)選手。
この二十歳になったばかりの最年少エースの活躍無くしては、日本代表チームのメダルはないと言っても過言ではなくなってきているようです。
度胸の据わった若きエース
2018年9月29日の2018世界バレー女子大会開幕に先駆けて、9月3日に全日本女子チームの記者会見が開かれました。
その記者会見で最も大きく視線を集めたのは、最年少、二十歳の日本代表黒後愛選手でした。
試合前のルーティンはローソンの牛乳寒天を一人で飲む事と言って、その可愛らしい発言に、周りを微笑ませたのもつかの間、試合の時に緊張はするかという、2018世界バレーの解説を担当する元全日本女子のエース大林素子(おおばやしもとこ)さんの質問に対しては、「しません!」というきっぱりとした答え。
さすが、最年少でありながら、メキメキと頭角を現し、今や絶対エースの地位を確立しようとしている活躍の大きな理由を見たような気がします。
2018世界バレーのCMで「心の強い選手になりたい」と言っている黒後愛選手。
オリンピックの2年前に毎回開催されるこの世界バレーの重要性を強く認識しているようです。
世界のトッププレーヤーの高さやスピードを体感しながら、自分の最大限の力を出していこうと思います。
そこで潰されても這い上がればいい。
とにかく、自分の100%を世界相手にぶつけていきます!
身長180cm、スパイクの最高到達点306cmから放たれる弾丸スパイクは、破壊力を持つ強力な武器です。
2018世界バレーの本番では、心の強さを持ち、この弾丸スパイクをバンバン決めてほしいですね。
黒後愛選手のプロフィール
氏名:黒後愛(くろごあい)
生年月日:1998年6月14日(2018年9月現在20歳)
出身地:栃木県宇都宮市
身長:180cm
体重:70kg
利き手:右
ポジション:ウィングスパイカー
最高到達点スパイク:306cm
最高到達点ブロック:295cm
出身中学:栃木県宇都宮市立若松原中学校
出身高校:下北沢成徳高等学校
所属:東レ・アローズ(2017年3月より)
黒後愛選手は栃木県宇都宮市でバレーボール一家の元に生まれました。
お父様の黒後洋(くろごひろし)さんは宇都宮大学で体育学を専門とする教授です。
宇都宮大学バレーボール部の監督も務められていて、春高バレー経験者でもあるそうです。
また、お母様の情報はあまり詳しい情報は表に出ていないようですが、どうやら元バレーボール選手で、春高バレー出場経験もあるようです。
そして愛さんより5歳年上のお姉様である黒後彩乃(くろごあやの)さんも学生時代バレー選手であり、黒後愛選手と同じ、宇都宮市立若松原中学校バレー部時代にJOCカップ(全国都道府県対抗中学バレーボール大会)に出場、その後國學院栃木高等学校に進み、春高バレーに出場、大学はお父様のいる宇都宮大学に進学して宇都宮大学バレー部でも選手として活躍していました。
まさしく、バレーボールファミリーというのはこの事ですね。
黒後愛選手は、そんなバレーボールファミリーで育ち、お姉様の影響を受け、小学校3年生の時に、地元宇都宮市のジュニアバレーボールチーム「サンダース」に入り、バレーボールを始めます。
黒後愛選手が小学校5年生の時に、サンダースは第7回全国スポーツ少年団交流大会で全国3位入賞を果たしました。
2011年には、お姉様と同じ宇都宮市立若松原中学校に進学し、バレーボール部に所属します。
中学2年生の時に、全国中学生選抜に選ばれ、中学3年生の時に第27回JOCカップ全国都道府県対抗中学大会に栃木県代表メンバーとして出場し、チームとしては2回戦敗退となってしまいましたが、最優秀選手賞を受賞します。
2014年、ずっと憧れている木村沙織(きむらさおり)選手が通っていた東京都にある高校バレー界の名門校下北沢成徳高校に進み、バレー部に所属します。
高校1年生であった2014年6月には、東京オリンピックの強化選手であるTeam COREのメンバーに選出され、そこからの黒後愛選手の活躍は怒涛のようでした。
<国内大会>
2014年国体で、下北沢成徳高校、全国3位
2015年全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高バレー) 下北沢成徳高校ベスト8
2016年 春高バレー 下北沢成徳高校優勝 黒後愛選手MVP受賞
2016年 全国高等学校総合体育大会バレーボール競技大会(夏のインターハイ) 下北沢成徳高優勝 黒後愛選手はベスト6選手の中で1位
2017年 春高バレー下北沢成徳高二連覇達成 黒後愛選手は2年連続のMVP受賞
<国外大会>
2015年 全日本ユース代表に選出され、第14回世界ユース女子選手権大会(U-18)に出場し、ベストサーバー賞受賞
高校バレー時代に、このように素晴らしい活躍をした後、黒後愛選手は、高校進学と同じように、憧れの木村沙織選手が所属するVプレミアムリーグの東レ・アローズに入団を決定し、2017年3月に選手登録されます。
残念なことに、黒後愛選手が東レ・アローズに入団が決定した直後の2017年3月22日に木村沙織選手は現役引退の記者会見を開き、黒後愛選手は憧れの木村沙織選手と一緒にプレーをすることは出来ませんでした。
でも、木村沙織選手の最後の試合を生で見ることが出来、そのプレーする姿を目に焼き付けたそうです。
そして、2017年3月には全日本女子バレー代表メンバーに登録され、2017年9月に日本で開催された2017年ワールドグランドチャンピオンズカップの出場メンバーに登録されます。
2017年10月22日のVプレミアリーグ開幕戦(対トヨタ車体クインシーズ戦)ではスタメン出場をし、13得点(スパイク12得点、ブロック1得点)をあげ、華々しいVプレミアデビューを果たしました。
2017/18シーズンのレギュラーラウンドでは、東レ・アローズの攻守の中心として活躍し、最優秀新人賞を獲得しました。
全日本女子代表としては、国際バレーボール連盟(FIVB)が2018年から新設したFIVBバレーボールネーションズリーグ2018の5月16日(水)に行われた初戦、対セルビア戦で、日本代表デビューを果たします。
日本代表チームとしては、7勝8敗で全体の10位で決勝トーナメントには進めなかったのですが、黒後愛選手は、試合を重ねるごとに、エンジンがかかり、6月7日のタイ戦では29得点をあげ、絶対的なエースとなる大きな可能性を見せてくれました。
8月にインドネシアで開催されたアジア大会2018ジャカルタでは、チームとしては4位となりメダルを逃しはしたものの、7試合中6試合に出場し、黒後愛選手は、弾丸スパイクとサービスエースを、ここぞという機会に決めるという活躍を見せてくれます。
全てが規格外の黒後愛選手秘話
若干二十歳の黒後愛選手ですが、そのバレーボール選手としての軌跡は、未来のスーパーエースとなるだろうと確信させてくれるスケールの大きいものです。
その規格外のスケールの大きさは、黒後愛選手の秘話にも現れているようです。
<高校一年生の時に人生初めての風邪を引く>
とにかく、子供の頃から丈夫で風邪を引いたことのなかった黒後愛選手。
そうは言っても、やはり人の子だったようで、高校一年生の時に初めて風邪を引いたそうです。
普段元気一杯の黒後愛選手が、ぐったりとして具合悪そうにしているのを見て、お母様とお姉様が心配し、熱を測ったらなんと39度の高熱!
そして家族は「愛に熱が出た!」と全員でびっくり仰天したそうです。
本人も、フラフラで喋れないくらい大変だったと言っていました。
高校1年生で初めての風邪というだけでも既に規格外ではあるのですが、そんなフラフラの中、体が鈍ってしまうと言い、家の中で筋トレを始めた黒後愛選手!
高熱でフラフラになりながらも筋トレをする妹の姿を見たお姉様の彩乃さんは、思わず、その筋トレシーンを録画しました。
その動画は、どこからどう見ても39度の高熱の人間がする筋トレには見えず、素晴らしく軽やかなものでした。
本人曰く、「風邪は気合い」だそうで、とにかく規格外・・・恐るべし、モンスター黒後愛選手です。
<チームメイトの指をへし折る弾丸スパイク>
宇都宮市立若松原中学校バレーボール部時代の話です。
黒後愛選手がスパイクを打ち、チームメイトがブロック練習をしていた時、あまりにも黒後選手のスパイクが強く、ブロックをしたチームメイトの小指を骨折させてしまったのです。
骨折をしてしまったチームメイト曰く、「他の子とボールの強さが全く違う」そうで、ブロックした途端に指が飛んで行ったような感覚だったそうです。
黒後選手は、「あっ!ごめーん!」と明るい反応。
今でもその骨折した小指は、曲がったままだそうで・・・。
恐るべし、弾丸スパイクの威力です。
<半端ない試合への集中力>
またもや、宇都宮市立若松原中学校バレーボール部時代の話です。
黒後愛選手の叔父様でもある黒後昭(くろごあきら)バレー部監督によりますと、試合前にあまりにも集中していた黒後選手が、試合直前にウィンドブレーカーを脱いだら、なんと、ユニフォームの短パンを履き忘れていたのです。
チームメイトが騒いだので、すぐにウィンドブレーカーのパンツを上にあげたそうですが、黒後選手自身は意外とあっけらかんとしていて「あー!忘れちゃったぁ」という反応だったそうです。
「バレーの事を考えたら、バレーだけ。集中した時の愛は手がつけられない」と監督が語るほど。
これもまた規格外ですが、これからは国際舞台も多くなるので、そんなことが二度と起こらないようにと祈りたいです。
<帰宅部同級生を誘い込みバレー部の危機を救う?!>
若松原中学校バレーボール部時代の極め付けの秘話です。
中学校2年生の時、黒後愛選手が所属するバレー部の部員が5人になってしまうという事態が起こりました。
そこで黒後選手は帰宅部だった同級生を誘い、バレー部に入部させ、即席チームを結成し、そしてその二ヶ月後には県大会で優勝するという快挙を成し遂げたのです!
黒後愛選手本人の話によると、その帰宅部の部員をコートの隅に配置し、彼女の分まで黒後選手が動き回りカバーするという「帰宅部隅っこ大作戦」を実戦したのです。
それから黒後選手が引退するまで、若松原中学校バレーボール部は栃木県内で一度も負けることはなく、県内無敗の最強チームになったそうで・・・。
全てが、やはり規格外の恐るべし黒後愛選手です。
三浦春馬似の若きエース黒後愛選手
黒後愛選手といえば、とにかくそのはち切れんばかりの笑顔が魅力です。
バレーボールは勝負の世界ですが、敵から見ると、相手の笑顔は恐ろしく見えるものです。
ですから、黒後選手にとって、弾丸スパイク、サーブ力だけでなく、その笑顔も大きな武器と言えると思います。
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#黒後愛 さん❤️🧡💛💚💙💜🖤
でも、この笑顔、何か見覚えがあると思ったら・・・そう、俳優の三浦春馬(みうらはるま)さんの笑顔にそっくり!
三浦春馬さんを女の子にすると、こんな感じになるのか・・・と納得してしまいました。
これからのバレーボール国際試合では、この天真爛漫な笑顔を炸裂させての活躍を大いに期待したいです。
木村沙織選手の後継者へ
ポスト木村沙織選手と言われ続けている黒後愛選手。
本人も、小さい頃から木村沙織選手に憧れ、木村選手の所属していた下北沢成徳高校バレー部に入り、木村選手と同じく成徳高校の春高バレー二連覇を成し遂げました。
そして高校卒業後は、木村選手が所属していた東レ・アローズに入団。
残念ながら、木村選手引退のため、黒後選手と木村選手が一緒にプレーしているところを見ることは出来ませんでしたが、現段階までの黒後選手の実績は木村沙織選手に負けず劣らず素晴らしいものです。
木村沙織選手は、22歳の時に、2008年北京オリンピックに出場し、5位。
そして、2012年のロンドンオリンピックの時には、エースアタッカーとして、全日本女子代表チームをロサンゼルスオリンピック以来28年ぶりのメダルとなる銅メダル獲得に導きました。
2020年東京オリンピックまであと2年。
そして黒後愛選手は東京五輪の時には22歳です。
木村沙織選手のようになりたい
と黒後愛選手は言っていますが、木村沙織選手の後継者、そしてそれ以上のエースアタッカーとなり、日本女子バレー代表チームである火の鳥NIPPONを、東京オリンピックでのメダル獲得に導いて行って欲しいですよね!
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