2020年東京オリンピックから正式競技となるスポーツクライミング。
東京オリンピック出場を期待されている強化選手の中でも一際輝く存在の、伊藤ふたば選手。
2002年生まれで、現在高校一年生で16歳(2018年7月時点)の、この若い女子選手は、すでに2017年第12回ボルダリングジャパンカップで優勝し、日本ボルダリング史上最年少女王の記録を作りました。
東京オリンピック開幕まで2年を切った現在、選手達にとっては、もう2年もないという準備段階に差し掛かっています。
大きな期待を背負って日々鍛錬している、ユースのエース伊藤ふたば選手のプロフィールや強さの秘密に迫っていきたいと思います。
伊藤ふたば選手プロフィール
名前:伊藤ふたば (いとうふたば)
生年月日:2002年4月25日
年齢:16歳(2018年7月現在)
出身地:岩手県盛岡市
出身校:盛岡市立松園中学校卒業、、盛岡中央高等学校1年在学中(2018年7月現在)
身長:160cm
体重:44kg
家族構成:父、母、兄 の4人家族
伊藤ふたば選手はまだ、小学校3年生だった頃、スポーツクライミングが趣味であったお父様の伊藤崇文さんに連れられて、岩手県営運動公園でクライミングを初体験します。
岩手県営運動公園とは、岩手県盛岡市みたけにある、東京ドーム5個分もある大規模な総合運動場です。
観客3万人収容の本格的な陸上競技場を始めとし、サッカー場、ラグビー場、野球場、テニスコートも完備され、そこに”登はん競技場”も完備されています。
競技を初めてすぐに15メートルを登り切ってしまい、周囲を驚かせたという逸話をもつ、伊藤ふたばさん。
岩手県営運動公園には、屋外登はん競技場として15メートルの高さの壁が2面ありますから、そのどちらかが、ふたばさんが最初に15メートル登った壁なのかもしれません。
お父様の伊藤崇文さんは、2018年で43歳で、2016年10月30日開催の第14回岩手ボルダリング大会でマスター一般男子部門で2位という成績ももつ、本格的なクライマーです。
同姓同名でプロレスラーの伊藤崇文選手がいますので、「まさか?」の声もあがったようですが、全く別の人物です。
ふたばさんがクライミングを始めた頃は、教えたりすることもよくあったようですが、今は立場が逆転してしまっていると、ご本人も、誇らしく嬉しい気持ちで、ふたばさんの成長を見守っていらっしゃるようです。
お母様については、残念ながら今の所、公な情報は無いようです。
まだ、高校1年生になったばかりで、同時にクライミングをオリンピックに向けて頑張っている、ふたばさんですから、きっとお弁当を始めとする食事、栄養面で、ふたばさんを支えていらっしゃるのだろうと思います。
ふたばさんにはお兄さんが一人いらっしゃるようですが、お兄さんについても情報はつかめませんでした。
今後、東京オリンピックに向けて、ふたばさんの躍進が続いていくことで、伊藤家についても、どんなファミリーなのか知る機会が出てくることでしょうね。
伊藤ふたば選手の競技成績
ふたばさんは、お父様に連れて行かれたクライミング初体験から、「高いところが好きだったから、クライミングにハマった」そうで、本格的にクライミングをはじめました。
小学校6年生となった2014年から公式大会出場を始め、最初の公式戦であった第17回JOCジュニアオリンピックカップ大会(富山県南砺市で8月2~4日開催)で、リード競技で2位入賞を果たすという、華々しいスタートを切ります。
2015年からは国内大会だけでなく、国際大会にも出場をし始めます。
最初の国際大会である、2015年12月3日〜5日にマレーシアで開催されたIFSCクライミング・アジアユース選手権プトラジャ2015では、リード競技とボルダリング競技で1位に輝きました。
このIFSCクライミング・アジアユース選手権では、2016年、2017年共に素晴らしい成績を残しています。
IFSCクライミング・アジアユース選手権テヘラン2016(2016年9月26日~30日イラン、テヘランで開催)
リード競技:1位
ボルダリング競技:1位
スピード競技:11位
IFSCクライミング・アジアユース選手権シンガポール2017(2017年7月5日~9日シンガポールで開催)
リード競技:3位
ボルダリング競技:1位
スピード競技:8位
このアジアユース選手権で、伊藤ふたば選手は3年連続ボルダリング競技1位、2年連続リード競技1位という結果を納めたのです。
また、この上位大会であるIFSC世界ユース選手権でも立派な結果を残しました。
IFSC世界ユース選手権広州2016(2016年11月7日~13日中国広州で開催)
リード競技:9位
ボルダリング競技:2位
IFSC世界ユース選手権インスブルック2017(2017年8月30日~9月10日オーストリア、インスブルックで開催)
コンバインド競技:3位
リード競技:3位
スピード競技:34位
2017年の世界ユース選手権では、スピード競技こそ34位に終わりましたが、コンバインド競技とリード競技は3位になりました。
2020年東京オリンピックでは、スポーツクライミングは、ボルダリング、リード、スピードという3種のクライミング競技の総合点を競う、コンバインド種目で競われます。
そのため、このコンバインド競技で上位成績を納めたことは、伊藤ふたば選手にとって大きな意味を持つのです。
また、国内大会において、2017年1月28日、29日に東京都・国立代々木競技場第二体育館で開催された第12回ボルダリングジャパンカップでは、日本女子ボルダリングの第一人者である野口啓代(のぐちあきよ)選手、野中生萌(のなかみほう)選手を押さえて、優勝します。
この時、伊藤ふたば選手は14歳9ヶ月、第1回ボルダリングジャパンカップで優勝した野口啓代選手の16歳3ヶ月という最年少優勝記録を大きく塗り替えました。
これが、伊藤ふたば選手が「日本ボルダリング史上最年少女王」と呼ばれる所以です。
2018年の4月から開始されたIFSCクライミング・ワールドカップには、最年少の日本代表選手として出場しています。
IFSCクライミング・ワールドカップ マイリンゲン2018(2018年4月13日、14日スイス、マイリンゲンで開催)
ボルダリング競技:27位
IFSCクライミング・ワールドカップ モスクワ2018(2018年4月21日、22日ロシア、モスクワで開催)
ボルダリング競技:8位
スピード競技:45位
IFSCクライミング・ワールドカップ 重慶2018(2018年5月5日、6日中国、重慶で開催)
ボルダリング競技:16位
スピード競技:31位
IFSCクライミング・ワールドカップ 泰安2018(2018年5月12日、13日中国、泰安で開催)
ボルダリング競技:13位
IFSCクライミング・ワールドカップ 八王子2018(2018年6月2日、3日日本、八王子で開催)
ボルダリング競技:6位
IFSCクライミング・ワールドカップ ヴィラール2018(2018年7月6日、7日スイス、ヴィラールで開催)
リード競技:18位
スピード競技:34位
IFSCクライミング・ワールドカップ シャモニー2018(2018年7月11日~13日フランス、シャモニーで開催)
リード競技:27位
スピード競技:36位
初めてのワールドカップで、ユース枠ではなくシニア選手たちとも一緒に世界の舞台で戦うことは、現段階での成績結果を見ても、そう簡単ではなかった事は十分に伺えます。
しかしながら、ロシア大会では、決勝までは進むことは出来ませんでしたが、準決勝に進んで8位、八王子大会では、また順位を上げて、6位に食い込むという、目に見える成果を上げています。
これからオリンピックに向けて、どこまで高めていってくれるのか?
202年東京オリンピックで10代メダリストの誕生になるのか?・・・とても楽しみな伊藤ふたば選手です。
伊藤ふたば選手というクライマーが誕生した秘密
2018年から盛岡中央高等学校に進学した伊藤ふたばさん。
現在、岩手県盛岡市にあるJAZZY SPORT MORIOKA THE STONE SESSIONで、日常的なクライミングの練習を行なっています。
遂にふたばが今週ワールドカップに参戦します。 定休日でしたが3人で国内最終調整しました。小学生からワールドカップの舞台に立つ事を夢見て、その夢にこちらも夢を見て今日は寝不足で終始夢見てるようでした。 大きなチャレンジ。ビッグシーズンの始まり。いつもモチベーションとインスピレーションを貰ってます。俺も頑張る!先ずは寝る! #thestonesession #jazzysport #futabaito #伊藤ふたば
そのオーナーでもある吉田直(よしだなおき)さんに、ふたばさんは大きな信頼を寄せています。
伊藤ふたば選手は、基本的には専門のコーチは持たずに、自分で練習メニューを決めているのですが、この吉田さんには、様々なアドバイスをもらっています。
吉田さんのことを、ふたばさんは「Chokuさん」と呼んでいて、「Chokuさんがいなければ、自分はここまで強くなれなかった」とまで発言しているそうです。
このJAZZY SPORT MORIOKA THE STONE SESSIONは、音楽とスポーツを融合させるレーベル「JAZZY SPORT」が経営するクライミング施設です。
Jazzy Sportとは、ヒップホップを軸に、オールラウンドなダンス・ミュージックをフォローする国内屈指のインディー・レーベルであり、レコードショップでもあります。
現在、ショップは、東京の東急東横線学芸大学駅に近い東京都目黒区五本木と、京王井の頭線下北沢駅近くの世田谷区北沢の2店舗ですが、発祥の地が盛岡だったのです。
Jazzy Sportの2トップの一人であるMasaya Fantasistaさんの大学時代の友人が、伊藤ふたばさんが信頼する吉田直さんでした。
Masayaさんは、吉田さんと何かやろうとずっと思っていたそうで、Masayaさんが東京にレーベルのノウハウ作りを学ぶために仕事をしにいっている間に、吉田さんはレコードショップを盛岡に作ろうとし、そこでMasayaさんが吉田さんに提案したJazzy Sportという名前の盛岡のレコードショップとなりました。
Jazzy Sport(JS)はその後東京に進出して、発展していきますが、吉田さんは2012年にボルダリングジムをオープンさせました。
実は、吉田直さん、伊藤ふたばさんが初めて、クライミングを経験したという岩手県営運動公園でクライミングをやっていたクライマーでもあったのです。
JAZZY SPORT MORIOKA THE STONE SESSIONは、ふたばさんが通う盛岡中央高等学校から、徒歩約10分の場所に位置します。
ふたばさんのご自宅の場所は分かりませんが、小学生の頃から、このジムに通っているそうですから、恐らく、遠くない場所にあるのではないでしょうか?
日常生活の場所にほど近いところに、このような本格的なクライミングジムが出来たことは、きっと伊藤ふたばさんが、今のように期待される強豪選手となった事と大きく関係があるのではないかと思います。
また、音楽とスポーツの融合というこの、クリエイティブなコンセプトのクライミングジムで育った、ふたばさんの身体には、きっとその自由な感覚、そしてクライミングそのものを思い切り楽しんでいくという細胞が育っているのではないでしょうか?
伊藤ふたば選手の強さの秘密
スポーツクライミングは、リード、ボルダリング、スピードと、種目によって求められる能力は異なりますが、基本的に共通していることは、高いところに登るということです。
つまり、重力との戦いになるわけですから、重く無い方が良くなります。
その為もあってか、あまり背の高い選手は多くありません。
伊藤ふたば選手も160cmですから、そんなに大きいわけではないですよね。
でも、160cmの割に、手足が長いという強みがあります。
そして柔軟性、コンタクト・ストレングス(接触筋力・・・指先がホールドに触れた瞬間に握り込む能力)、重心運動という強みを持っています。。
手足の長さ・・・リーチの長さを最大限に活かし、柔軟性によって、身体をうまく折りたたみ、狭い場所に足をいれる、優れたコンタクト・ストレングスによって、ホールドに指がひっかった途端、ガッチリと掴み、そして本人も得意としているという「重心運動」で次の運動に移り、様々な課題を突破していきます。
最近は少しずつ自重トレーニングを始めたことで、自分でもまだまだバリエーションを増やして登れるんだと思えてきました。これだという武器があるのもいいのですが、苦手分野がない、どこをとってもストロングポイントだと言われるようなクライマーになりたいです。
と本人も言っていますが、これは、2020年東京オリンピックのスポーツクライミング種目に最も大切なことです。
なぜなら、オリンピックでは、リード、ボルダリング、スピードの3つの競技の総合得点で競われるコンバインド種目で試合が競われるからです。
それぞれの競技に強さが発揮でき、弱点の少ない選手が勝つというコンバインド種目ですから、どこをとってもストロングポイントと言われるようなクライマーは、まさに2020年東京オリンピックで活躍できるクライマーに求められる要素です。
現在、伊藤ふたば選手は、第1期に引き続き第2期JMSCAオリンピック強化選手に選ばれています。
日本代表の安井博志ヘッドコーチによると、
伊藤ふたばは柔軟性が高く、自分の身体のサイズ感をよくわかっている選手です。いつも冷静でマイペース。どんなに緊張するような場面でも、決して自分を崩しません。
かなりマインドが強い選手であることが伺われます。
また、とにかく負けず嫌いであるとのこと。
そして指紋がなくなるくらいの練習量をこなしているそうですから、可能性、伸び代の部分を、どんどん実力に変えていく事でしょう。
このパナソニックのCMBeautiful Japan 2020にもあるように「やると決めたらブレない」精神は、伊藤ふたば選手そのものです。
まだ2年ある、でも選手達にはもう2年しかないこれからの月日を200%充実させて、2020年東京オリンピックで開花する美しい花の姿を大きく期待したいと思います。
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