日本が参加する初のオリンピックである1912年第5回ストックホルム大会に向けて、初の代表選手である金栗四三(中村勘九郎さん)と、三島弥彦(生田斗真さん)、そして日本選手団監督の大森兵蔵(竹野内豊さん)とその妻安仁子(シャーロット・ケイト・フォックスさん)はスウェーデンの首都ストックフォルムに17日間の行程を終えて到着しました。
言葉も気候も文化も違う未知の土地で、四三と弥彦のオリンピックへの準備は始まります。
ストックホルムでの準備開始
ストックホルム到着の翌日、四三はスウェーデン人ガイドのダニエルとマラソンコースの下見をします。
そして、その後、弥彦と二人して、ストックホルム・スタディオン(Stockholms stadion)で、現地の記者達から取材を受けました。
日本が、1904年から1905年にかけての日露戦争で、大国ロシアに勝利したこともあり、日本人選手達への注目度の高さは、四三達の想像を遥かに超えるほど高いものでした。
四三たちが取材を受けている時、同じくオリンピック初参加であるポルトガルの代表選手ラザロも取材を受けていました。
日本の注目度の高さにも刺激を受けた四三は、その夜、日本にいる嘉納治五郎(役所広司さん)に手紙を書きます。
「三島さんも、私も、明日から本格的な練習を始めます。日本スポーツの黎明の鐘になるべく、本番までの一ヶ月半、気を抜かずに乗り切ります。」
白夜のために、なかなか眠れず、寝不足だった四三と弥彦でしたが、翌日から練習を開始しました。
四三は、坂道を三里から四里(約12キロメートルから16キロメートル)走る練習を繰り返します。
もちろん、マラソン競技に出場するのは日本からは四三しかいませんから、黙々と一人で練習を繰り返します。
しかし、他の国の選手達は、同じ競技に複数の選手が出場しているので、お互いに批評やアドバイスをしながら練習をしています。
そんな光景を見て四三は、とても羨ましく思い、また、間近に見る西洋人たちは、日本人よりも遥かに体格が良く、その事にも劣等感を感じてしまうのでした。
練習後、ホテルに戻った四三に、大森夫妻が、マラソンだけではなく1万メートル走にも出場してみてはどうかと勧めます。
弥彦も、100メートル、200メートルに加えて400メートルにも参加する事になったというのです。
マラソンの練習にもなるだろうからというその提案に四三は同意します。
また、咳き込む大森は、その日練習に同行できなかった事を謝ります。
だいぶ持ち直したから明日はグラウンドに行けるだろうと言うのですが、翌日も大森は現れませんでした。
弥彦は、大森から受け取った練習メニューをこなすのですが、マラソンは大森の専門外であるため、四三は孤独に一人で練習するしかありませんでした。
注目を受ける四三の足袋
オリンピックの本番が近くにつれ、アメリカ、フランス、イギリス、ロシア等の選手団もストックホルム入りし、スタジアムでの練習にも参加するようになってきました。
ある日、ロッカールームで、ポルトガル代表のラザロが、四三の足袋に大きく興味を示し、見せて欲しいを頼んできます。
足袋は職人が履くものだと説明したい四三は、釘を打つ仕草をして見ると、ラザロは驚いて、「Carpenter? I am a carpenter!」と言うのです。
ラザロは、ポルトガルで大工をしており、貧しさの為、電車に乗れないのでいつも走って移動していたところをマラソン選手としてスカウトされたのでした。
四三も、電車に乗らずに走って通学をしていたので、そんなラザロに大きく共感を覚え、替えの足袋をプレゼントします。
他の国の選手達も、世界記録を出したという四三が履く足袋に興味津々です。
四三を質問責めにして、欲しい欲しいとねだるのです。
仕方なく、四三は、日本の播磨屋の店主黒坂辛作(ピエール滝さん)に電報を打ち、至急、追加で足袋を送って欲しいと依頼するのでした。
三島弥彦の挫折
6月15日、四三は嘉納治五郎に、絶望的な現地の状況を知らせる手紙を書きます。
「練習を開始して12日目、とうとう誰も部屋から出てこなくなりました。この度の大会は日本人にとって最初で最後の大会になる事でしょう。黎明の鐘は鳴りません。」
弥彦は、西洋人とのスピードの差を思い知らされすっかり自信喪失をしていました。
練習に出てこない弥彦を心配した四三は、弥彦の部屋に行くのですが、白夜に耐えかねて黒いカーテンを締め切った部屋のクローゼットから弥彦が出てきます。
「吸血鬼になった気分だよ。西洋人は速い。とても勝ち目はないよ。」
また、オリンピック予選で世界記録を出した四三の存在も弥彦を苦しめていました。
注目を浴びるのは予選で世界記録を出した四三ばかりでした。
三島弥彦として取り上げられてようやく新聞記事に載ったのですが、四三の写真が間違われて使われてしまったと言う始末。。。
ここにいると君もおかしくなるよと弥彦から言われて部屋を出た四三は、大森夫妻の部屋に向かいます。
「監督と話ばさせてください!三島さんは相当参っとるとです。」
妻安仁子が止めるのも聞かずに、部屋に入るのですが、大森兵蔵はげっそりと痩せこけて咳き込んでいるのでした。
廊下に出た四三は、弥彦の部屋のドアが開いていて光が漏れているのに気づきます。
不思議に思って部屋に入った四三は、今にも窓から飛び降りようとしている弥彦を見つけます。
四三は必死になって駆け寄り、弥彦の身体を掴み止めようとします。
「我らの一歩は日本人の一歩ばい!速かろうが遅かろうが、我らの一歩は意味があるたい!」
そして弥彦は涙ながらに「ありがとう、金栗くん」と言うのでした。
嘉納治五郎の到着
この一件以来、四三は、弥彦の練習にも付き合うようになります。
大森の作った練習メニューの元に、試行錯誤の練習は続きます。
そうしているうちに、弥彦は本来の明るさを取り戻し、現地ストックホルムで新品のスパイクを買い、前向きに練習をするようになりました。
大森兵蔵も、ようやく体調を取り戻し、グラウンドの練習に顔を出すようになりました。
6月23日、ストックホルムは夏至を迎え、夜が全くなくなりました。
この季節スウェーデンの人々は、夏至祭として広場で毎晩踊り明かして楽しみます。
ホテルの中でも、毎晩、音楽や嬌声がやかましく、眠りにつけない四三と弥彦は閉口していました。
ある晩、どうにもこうにも耐えられなくなった四三と弥彦は、静かにしてくれと頼むためにホテルの食堂に向かいますが、逆に日本の歌を歌ってくれとせがまれ、歌う羽目に陥ります。
仕方なく、四三は日本の国歌、君が代を歌い出し、弥彦にも目で合図して一緒に歌わせます。
静かな響きの君が代を四三と弥彦が歌い終わった時、食堂の人混みをかき分けて現れたのは、到着したばかりの嘉納治五郎でした。
人だかりを歓迎と勘違いした治五郎は、四三と弥彦のキョトンとした表情には構わず、ひたすら上機嫌なのでした。
そして到着したばかりの治五郎は、自分の部屋に四三、弥彦、大森夫妻、内田公使を呼びます。
四三には預かってきた足袋を、大森には、大森が執筆した「オリンピック式陸上運動競技競技法」を製本したものを渡します。
内田公使はオリンピック開会式のプログラムを持参してきていましたが、日本はイタリアの次の順番だといいます。。
そして、大会委員会から、開会式行進の時に掲げる国のプラカードの表記について問い合わせがあった事を治五郎に伝えます。
「JAPAN」で良いだろうと、大森兵蔵が言い、嘉納治五郎も同意するのですが、四三が断固として反対をします。
「日本」でなければ、私は出場しません!と四三は言い張ります。
JAPANとは英国人が勝手につけた呼び名であり、自分はあくまでも日本人だと四三は譲ろうとしません。
読めなくては意味がないのだ、日本が世界の大会に出ることを世界に人々に知らしめる必要があるのだと、大森が主張するのですが、弥彦も安仁子も加わって、話は大いに揉めます。
それは、第5回ストックホルムオリンピックの開幕まであと一週間に迫っている夜の事でした。
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