金栗四三(中村勘九郎さん)と三島弥彦(生田斗真さん)という、日本初のオリンピック参となるストックホルムオリンピックの代表選手二人は、大勢の見送り客の声援を受けて新橋駅を出発しました。
でも、一緒に乗車している筈の、嘉納治五郎(役所広司さん)が汽車にはいなく、四三は不安になります。
これから日本にとっては地球の裏側にも相当する遠い異国スウェーデンに行くというプレッシャーもあり四三は気がきではありません。
まずはウラジオストックへ
1912年(明治45年)5月16日、素晴らしい天気に恵まれ、見送り客でごった返しの新橋駅を四三達は出発しました。
東京からストックホルムまでの距離は約8千キロメートル。
空路のない時代ですから列車、船、列車と乗り継いで17日間に渡る長旅です。
同行するはずの嘉納治五郎が列車に乗っていないことに動揺した四三は、その理由をストックホルムオリンピック日本選手団監督を務める大森兵蔵(竹野内豊さん)に問いただします。
その理由は、嘉納治五郎は国家役員であるため、長期海外出張するのに面倒な手続きがあ流のだが、文部省との間に行き違いがあり、手続きが完了していなく、新橋駅で足止めをされたというのです。
手続きが完了し次第駆けつけるという事で、船旅の出発地である福井県敦賀までは、東京高等師範学校助教授の可児徳(かにいさお・古館寛治さん)が同行することになりました。
日本初のオリンピック出場代表選手である四三と弥彦は既に全国レベルの人気者になっていました。
大きな駅に列車が停車するたびに、応援客が駆けつけ、中には贈り物を渡してくれる人もいる程でした。
寝台車で過ごす最初の夜、なかなか寝付けない四三は日記をつけ始めます。
この右も左も分からない暗中模索の旅日記ということで、四三は日記の題名を「盲目旅行〜国際オリンピック参加之記」としました。
翌朝、敦賀に到着しましたが、嘉納治五郎は現れず、金栗四三、三島弥彦、そして大森兵蔵と妻の安仁子(シャーロット・ケイト・フォックスさん)の四人は、可児に見送られて船に乗り込みます。
海路で二日かけてシベリア鉄道に乗るための地、ウラジオストックに着きましたが、そこでもまだ嘉納治五郎は到着せず、四三は落胆するのでした。
シベリア鉄道の旅始まる
シベリア鉄道の旅が始まると、大森兵蔵は倹約のために、食堂車で食事をせずに自炊をしようと言いだします。
大森夫妻は、魚や肉の缶詰、アルコールランプなどを持参しており、バンと牛乳は駅で買うことにし、大森の妻安仁子が料理を担当するというのです。
四三たちが、道中で応援客からもらった野菜や味噌もあったので、問題はないだろうということになりました。
そのような倹約のための自炊計画が決まった当日、食堂で飲もうというドイツ人の誘いに乗ってしまった大森のせいで、一行は食堂車で食事をすることになってしまいます。
シベリア鉄道の食堂車のメニューは、四人が驚愕する程高額だったのですが、なんと大森は、ドイツ人達の飲み食い代まで奢ってしまいます。
出発から四日過ぎた5月20日、四三たちを乗せた列車は、満州のハルピンに到着します。
ハルピンとは、3年前の1909年(明治42年)に伊東博文が暗殺された地であり、当時は中国、ロシア、日本が覇権をめぐり争いを繰り広げていたため、物々しい雰囲気のある街でした。
列車の出発まで時間の余裕があったので、四三と弥彦は、ハルピン市街に出てみます。
すると、たちまち武装したロシア兵に呼び止められてしまいます。
パシポートを見せて事なきを得ましたが、通りの向こうでは中国兵が睨みつけています。
早く用を済まして帰ろうと、二人は絵葉書を買い求めにいくのでした。
列車が出発し、車窓から雄大な景色を眺めている四三に、弥彦が四三に、恋人がいるのかと唐突に訊ねてきます。
突然の質問に狼狽した四三は、何を破廉恥なことを聞くのかと憤慨します。
弥彦は、そんなのは世間話じゃないかと対応し、四三の日記を読んだけど分からなかったと言うのです。
自分の知らぬ間に勝手に日記を読まれていることに四三は仰天するのですが、弥彦の方は全く悪びれた様子もありません。
絵葉書もたくさん書いているじゃないかという弥彦に、「兄に書いているのです!下種の勘繰りもやめて下さい!」と言い放つ四三でした。
そして列車はシベリアの真珠とも呼ばれる巨大な湖、バイカル湖を沿って進み、四三達一行が乗車してから五日目にはヨーロッパ領に入って行きました。
その頃東京では
四三達が、シベリア鉄道でヨーロッパ領に入る頃、嘉納治五郎はまだ東京に足止めされていました。
連日、文部省に通いつめているのですが、なかなか埒があきません。
「申請して一週間も経つんだぞ!何をもたもたしておる!金も出さない、私も出さない国辱役人め!」と文部省の窓口の係員に詰め寄り、悪態を付いていました。
一方、孝蔵(森山未來さん)は、いつものように橘屋円橋師匠(松尾スズキさん)の車を引き、寄席まで送っていました。
弟子入りなのか、はたまたお客と専用車夫の関係なのか分からないような形になって半年が過ぎていました。
その日、円橋は車を降りると、孝蔵にわずかばかりの給金を渡し、楽屋口まで連れて行きます。
「今日からお前さん、三遊亭朝太(さんゆうていちょうた)だよ。私んち知ってるかい?明日から来な。車はいいからね。」
孝蔵は遂に高座名をもらうことが出来たのです。
そして、喜びを噛みしめながら、車を清さん(峯田和伸さん)に返しに行くのでした。
大森兵蔵
出発から10日過ぎた5月26日、慣れない長旅の疲れもあり、四三は大森兵蔵への不満を日記に記していました。
大森の英語混じりの喋り方や、西洋風の振る舞いが気に入らなかったのです。
四三は、大森がアメリカで体育を学んできた人物という事しか知らなかったため、なぜ、今回オリンピック選手団監督を引き受けたのかということを、大森自身に聞いてみました。
大森は、自分は体が弱かったのだと話を始めます。
もともとは、経営を学ぶためにアメリカに渡ったのでしたが、そこで驚いたのは西洋人の体の強靭さでした。
日本国民の体格向上を目指すため、アメリカのマサチューセッツ州スプリングフィールドにある国際YMCAトレーニングスクールに留学し、バレーボールとバスケットボールをのちに日本に紹介することになりました。
その頃、画家をしていた安仁子(アニー)のギャラリーで、大森兵蔵は、生活費を稼ぐためにハウスボーイとして働いていたのですが、アニーと大恋愛の末に結婚し、日本に連れて帰ってきたのでした。
そしてアニーは、日本に帰化して大森安仁子となったのです。
そんな話をしながらも、大森は咳き込んでいました。
度々、ひどく咳き込む大森の状態を見て、弥彦は、モスクワに到着したら医者に診せた方が良いのではないかと四三に相談します。
実は、大森夫婦は、嘉納治五郎から大森を選手団団長にと打診されてから、治五郎に対して、大森が肺を患っていることを打ち明けていました。
治五郎は、その事実を知り、療養を勧めたのですが、安仁子は、この機会を逃せば、大森自身がオリンピックを観ることは出来ないから、そして選手二人には決して迷惑はかけないからと約束をするからと、オリンピック行きを懇願したのでした。
その時、治五郎は、大森が書いた「オリンピック式陸上運動協議法」という論文を受け取ります。
論文には、短距離走の練習法やフォーム、足の運びまで事細かに記載されており、論文の内容そのものからも、大森の熱意がひしひしと伝わってくるものでした。
その熱意に動かされた嘉納治五郎は、大森を選手団長にし、妻安仁子を同行させることを決意したのです。
大森兵蔵の病状が回復しないため、5月28日、遂に安仁子は、自炊の中止を申し出ます。
監督である大森は病気、そして嘉納治五郎も不在というこの事態に、四三は弥彦に不満をぶちまけます。
「こぎゃん状態で、俺たちは日本スポーツの黎明の鐘になれるとですか?!!!」
そんな四三を弥彦は食堂車に誘い、費用を気にせずに食べようと言います。
食堂車の中は、四三と弥彦以外は皆、西洋人ばかりでした。
「考えても始まらん!走るのは俺たちだ!臆するな韋駄天。練習の成果を見せてやろうじゃないか!」
「は、はい!」
四三と弥彦はワインを飲みながら、ストックホルムでの健闘を誓うのでした。
ストックホルムにいよいよ到着
四三達一行は、翌日5月29日にロシアの首都セントピータースバーグに到着します。
そこで二日滞在し、5月31日にストックホルム行きの船に乗り込みました。
そして、東京の新橋駅を後にして17日めとなる6月2日、ストックホルム港に到着します。
港に降り立った四三たち一行を、日本大使館の内田公使が迎え入れてくれ、市街地のホテルへと案内してくれました。
ホテルに到着したのは夜の8時過ぎでしたが、北欧にあるストックホルムは、白夜のため、昼間のような明るさでした。
四三は、すぐに足袋に履き替え、弥彦とともに、オリンピックが開催される競技場、ストックホルム・スタディオン(Stockholms stadion)に向かいます。
煉瓦造りで美しく巨大な競技場に二人は圧倒されます。
そして、この広大な競技場のなかで、四三はマラソンに向けての闘志をみなぎらせるのでした。
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