テニス四大大会連勝を目指し、大坂なおみ選手が2019全豪オープンの決勝に勝ち進みました。
決勝で対戦するのは、28歳のサウスポー、世界ランキング6位のチェコのペトラ・クビトバ選手です。
二人にとっては、自身初となる全豪オープンタイトルと、世界ナンバー1ランキング獲得がかかっています。
この日本中が注目する世紀の決勝戦で大坂なおみ選手と対決するクビトバ選手とは、一体どのような選手なのでしょうか?
知られざる共通点も探ってみました!
プロ転向後早期の段階で頭角を表したクビトバ選手
ペトラ・クビトバ選手は、チェコ国籍、1990年3月8日生まれの28歳(2019年1月現在)の女子プロテニスプレーヤです。
本人のツイッター写真でも分かるように、とても美しい選手です。
When you’re so happy you even smile in the ice bath!
Hello @AustralianOpen quarterfinals! 😁🔥 pic.twitter.com/yQqgBBfcKV
— Petra Kvitova (@Petra_Kvitova) 2019年1月20日
身長182cm、体重70kgで、大坂なおみ選手とはほぼ同じくらいの体格です。
でもまあ、プレーしている全身の写真を見ると、何と手足の長いこと!!!
😀
Thanks for staying late and see you again tomorrow @SydneyTennis 🙏❤️
📷 @GettySport pic.twitter.com/eHUvsI4JLM
— Petra Kvitova (@Petra_Kvitova) 2019年1月10日
全豪オープンで対戦する大坂なおみ選手も180cmの長身ですが、クビコバ選手一人の写真を見ていると、2cmよりももっと身長差があるように思えてしまいます。
大坂選手は右利きですが、クビトバ選手は左利きので選手で、バックハンドは、大坂選手と同じように両手打ちをする選手です。
クビトバ選手は、3歳の頃から、父親の指導を受けながらテニスを始めました。
そして、2006年、16歳の時にプロになりました。
大坂選手は1997年生まれで2013年にプロ転向しましたから、ほぼ同じくらいの年齢からプロとしての道を歩んでいるわけですね。
そしてクビトバ選手は2008年には全仏オープンで四大大会に初出場し4回戦まで勝ち進みました。
大坂なおみ選手は2016年全豪オープンでグランドスラム初出場を果たし、3回戦で敗退しています。
その後クビトバ選手は、順調にその腕を上げていき、2009年1月にオーストラリアで開催されたホバート国際で、WTAツアー初優勝を果たします。
翌年2010年にはウィンブルドン選手権で、ノーシードながら初のベスト4進出を成し遂げます。
準決勝では、あのセリーナ・ウィリアムズ選手に敗れ、惜しくも決勝進出は出来ませんでしたが、クビトバ選手はその活躍を認められ、2010年の年間最優秀新人賞(WTA Newcomer of the Year)を受賞しています。
そして2011年、現在の大坂なおみ選手と同じ、21歳の年に、クビトバ選手は、プロテニス選手として最初のピークを迎えます。
開幕戦のオーストラリア開催のブリスベン国際でWTAツアー2勝目を上げ、続く全豪オープンではベスト8に進出します。
2月にフランス、パリで開催されたGDFスエズ・オープンで優勝し、WTAツアー3勝目を果たし、5月にはスペインで開催された5月のマドリード・マスターズで優勝し、WTAツアー4勝目を上げ、初めて、世界ランキングトップ10入りします。
5月22日から6月5日まで開催された2011全仏オープンでは4回戦敗退となりましたが、2011年6月20日から7月3日まで開催されたウィンブルドン選手権では、決勝でロシアのマリア・シャラポワをセットカウント2対0で破り、グランドスラム初優勝を成し遂げます。
その後8月29日から9月12日に開催された全米オープンでは一回戦敗退となってしまいましたが、10月のリンツ大会では優勝し、WTAツアー5勝目を上げます。
そのまま勢いに乗ったクビトバ選手は10月末から11月上旬にかけてのWTAツアーファイナルに初出場し、そして初優勝を果たします。
この快挙を受けて、2011年の年間最終ランキングでは、クビトバ選手は世界第2位となり、自身の中での最高ランキングを獲得しました。
自宅で不法侵入者に襲われ利き手に重傷
2011年にウインブルドン大会で優勝し、グランドスラムでの初優勝を果たしたクビトバ選手は、2012年には決勝に進むことは出来ないながらも全豪オープン、全仏オープンでベスト4に進むなど、キャリアを重ねていきました。
また、2012年のロンドン五輪ではチェコ代表として準々決勝まで進みます。
2014年には6月23日から7月6日まで開催されたウィンブルドン大会で3年ぶりの決勝進出、そして優勝を果たします。
2015年には全米オープンではベスト8進出、それ以外の四大大会では結果を出せませんでしたが、ツアーでは3勝を上げ、WTAファイナルズでは決勝に進み準優勝となりました。
そして2016年リオデジャネイロ五輪で銅メダルを獲得したクビトバ選手に、その年の12月20日に悲劇が襲います。
クビトバ選手は、その日チェコ東部プロスチェヨフの自宅にいたのですが、強盗が自宅に押し入ったのです。
強盗は刃物を持っており、クビトバ選手は身を守ろうとして、利き手の左手に重傷を負ってしまったのです。
その後緊急手術を受けたクビトバ選手は、自身のフェイスブックで「動揺しているけど、命が助かって良かったと思っている。医師達を信用しているし、万事良い方向に向くと思っているから安心して欲しい」と発言しています。
損傷した左手の五本の指の神経と靭帯を修復する手術を受けたクビトバ選手でしたが、復帰までは約6ヶ月要する見込みであるという発表がなされました。
復帰そして5年ぶりのグランドスラム決勝進出へ
2017年5月28日から始まった全仏オープンで、クビトバ選手は、約5ヶ月のブランクを経て、復帰をします。
が、この全仏オープンでは二回戦敗退となりました。
その後2017年6月19日から6月25日まで開催されたバーミンガムクラシック(Aegon Classic Birmingham)では、復帰後初優勝を果たします。
その後全米オープンではベスト8入りは果たしましたが、2017年のランキングは29位となり、6年ぶりの20位以下のランキングとなってしまいます。
2018年は四大大会では、全豪オープン1回戦敗退、全仏オープン3回戦敗退、ウィンブルドン1回戦敗退、全米オープン3回戦敗退と大きな結果は残せませんでしたが、WTAツアーでは。サンクトペテルブルクオープン、カタールオープン、プラハオープン、マドリードオープン、バーミンガム・クラシックで優勝し、年間ランキングを7位にまで上げてきました。
そして2019年に入り、1月4日から12日まで開催されたシドニー国際で優勝を飾り、1月16日から全豪オープンに参戦し、準決勝まで、1セットも落とさずに決勝進出を決めました。
実に今年に入ってから11連勝中と乗りに乗っているクビトバ選手です。
クビトバ選手は、2019全豪オープン決勝進出を決めてから、全豪オープン優勝によって、自身が世界ランキング1位になれるという事実に対して、自分の頭を指差しながら、こう語っています。
I don’t think there’s any room here to think about it.
ここにはそんな事を考える隙間はどこにもないの
22016年12月に、強盗に刺されて利き手の左手の重傷を負ってから、019年全豪オープン決勝進出は、クビトバ選手にとって、初めてのグランドスラム決勝進出となります。
I didn’t know even if I was going to play tennis again.
It wasn’t only physically but mentally was very tough, as well. It took me really long while to believe.
テニスを再びできるなんて思ってもいなかった。
フィジカルだけでなく、メンタルも凄く大変だった。
テニスが再びできると思うことができるまで、随分と長い時間がかかったわ。
「とても長い道のりでした」
そう語るクビトバ選手は、2014年のウィンブルドン大会優勝から実に、16回のグランドスラムで、ベスト4に進むことすら出来ませんでした。
その16回に渡る四大大会出場の中で、2015年と2017年の全米オープンでのベスト8進出が、ベスト記録でした。
毎回、参加しては負けるを繰り返したのは、精神的に非常にタフだったとクビトバ選手は語っています。
クビトバ選手は、つい最近、負傷した左手の手術をした医者は、実はクビトバ選手がテニス競技に復帰するのは困難だと考えていたと知ったそうです。
Luckily he didn’t tell me, like, during that period.
幸いなことに、彼(お医者さん)は、無理だろうとはその時に私には言わなかったの。
2018年の夏、クビトバ選手は、モニカ・セレス(モニカ・セレッシュ,Monica Seles, Monika Seleš)選手と実際に会って話すことが出来たそうです。
テニスに詳しい方ならばご存知でしょうが、セレシュ選手は、1993年4月30日、ドイツ・ハンブルクの「シチズンカップ」準々決勝でブルガリアのマグダレナ・マレーバとの対戦中に、暴漢ギュンター・パルシェに背中を刺されるという悲劇に見舞われました。
しかし、その3年後の1996年1月の全豪オープンで復帰後初の四大大会優勝を果たしたのです。
クビトバ選手は、左手の負傷、つまり肉体的な損傷はもちろんのことだけれど、精神的なダメージはとても大きかったと語っています。
状況は違っても、同じように、予測すらしなない暴漢から肉体を傷つけられるという経験をし、そしてそれを見事に乗り越えたセレシュ選手と実際に会って話を出来たということは、きっと、クビトバ選手を勇気付ける大きな力になったことでしょう。
復帰に長い年月を費やしたクビトバ選手が、5年ぶりのグランドスラム決勝である2019全豪オープン決勝に挑もうとしている一方で、大坂なおみ選手もまた、勝てないことへの葛藤を繰り返してきた選手です。
2018年、去年の今頃、世界ランキングは、72位だった大坂なおみ選手。
2018全米オープンで、あの女王セリーナ・ウィリアムズ選手を破り、日本人初のグランドスラム優勝を成し遂げた大坂なおみ選手でしたが、その全米オープン初勝利に至るまでは、7回、3回戦負け、4回戦までたどり着いたのは、たった一回でした。
クビトバ選手は「決勝がとにかく好きだ」と言っています。
今まさに、不運と苦難を乗り越えての決勝進出を心から楽しもうという平常心の強さが、この全豪オープンの決勝にどう現れるのでしょうか?
また、以前はメンタルの弱さが目立っていた大坂なおみ選手でしたが、今回の全豪オープンでは、押されていた試合を自分のペースに戻して勝利をもぎ取るという試合も多く、技術とパワーだけでなく、精神力も一段と成長してきています。
年齢や境遇は違えど、どちらも長い間の苦渋を乗り越えて、初の全豪オープン優勝、そして世界ランキング1位の座をかけて、大坂なおみ選手とペトラ・クビトバ選手は2019年1月25日、オーストラリア、メルボルン、ロッド・レーバ・アリーナで対戦します。
勝利の女神がどちらに微笑むかは、神のみぞ知る世界でしょうが、辛酸を舐めながらも這い上がってきたこの美しい二人のアスリートたちの戦いを見守りたいと思います。
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クビトバ選手は、あの時の選手だったのですね・・・。
テニスに詳しくない私がニュースの映像だけを記憶しています。
精神的にタフ・・という次元ではなく、人間としての強さを持っている方なんですね。
クビトバ選手、大坂なおみ選手、どちらが勝っても個人的には嬉しいかも??
2019全豪オープン決勝は、精神とパワーの戦いという、おそらくとても清々しい戦いになると思います。
二人のどちらが勝利しても、本当の意味での意義のあるグランドスラム優勝になるのではないでしょうか?
試合がとても楽しみです!