現在、三大駅伝のうち出雲駅伝、全日本大学駅伝の二つを制覇した2018年度シーズンの青学陸上部。
史上初の二度目の三冠(出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝制覇)に向けて、周到な準備をしていることでしょう。
今回は、2019年1月2日、3日に開催される第95回箱根駅伝制覇に向けた青学のキーマンにもなるのではないかと言われている4年生の橋詰大慧(はしづめたいせい)選手にフォーカスしていきたいと思います。
苦しかった2017年
橋詰大慧選手は現在、青山学院大学文学部の4年生です。
つまり、2018年度のシーズンを終えると、2019年春には卒業となりますから、橋詰選手にとって、大学駅伝は最後の年となります。
青学陸上部は、2015年1月2日、3日に行われた第91回箱根駅伝で初優勝してから、2018年の第94回大会まで箱根駅伝を四連覇しています。
一方、橋詰選手は、2015年4月入学の現在4年生ですが、1年生、2年生、3年生と箱根駅伝には出場できませんでした。
橋詰選手が入学した頃には、すでに選手層の分厚くなっていた青学陸上部ですから無理もありません。
1年生、2年生と、箱根駅伝の補欠にすら入ることができなかった橋詰選手でしたが、2017年の春、3年生になってから頭角を現してきました。
2017年4月1日には。金栗記念中長距離選手権で5000メートルで自己ベストを更新し、2017年5月25日には関東インカレで10000メートルを粘りに粘って6位入賞をしました。
そして2017年10月9日、第29回出雲全日本大学選抜駅伝競走では、初の三大駅伝出場となり、最終6区を任されました。
2017年出雲駅伝では、第1区では8位だった青学でしたが、第2区で3位、第3区では第1区からトップを走っていた東海大学を抜き、トップに出ました。
が、4区、5区では東海大学の鬼塚翔太選手、三上嵩斗選手が共に区間賞の走りを見せたため、青学の同じく4区、5区を小野田勇次選手、神林 勇太選手が力走するも、東海大学がトップとなり、6区の橋詰選手に襷が渡った時には、37秒差でした。
トップで襷をもらった東海大学はその後、アンカーの關颯人が好調な走りを見せ、またもや区間1位となり、東海大学は完全に逃げ切る形で第29回出雲駅伝を制しました。
初めての三大駅伝出場だった橋詰大慧選手は、区間賞を取った東海大学の關選手には追いつくことはできず、結果的に1分33秒の差をつけられてしまい、青学は2位、そして橋詰選手は区間6位という結果に終わってしまいました。
その後、怪我が続き、全日本駅伝には出場できず、四連覇を成し遂げた2018年1月2日、3日開催の第94回箱根駅伝にも、初めての補欠登録はされていましたが、橋詰選手は出場する事はできませんでした。
その時の悔しさを、橋詰大慧選手は、自身のツイッターで次のように語っています。
現実を受け止めれず、2日間ユニフォームをかばんの中に潜めていましたが、出番はありませんでした。「悔しければ練習しろ」と言われたので、まずは怪我を治して0から頑張ります。
次に輝くのは僕です!✨
— 橋詰 大慧 (@taisei_0321) 2018年1月4日
橋詰選手飛躍の2018年シーズン
次に輝くのは僕です!
補欠として2018年1月2日、3日にユニフォームをカバンに詰めていながら、出場できなかった橋詰大慧選手でしたが、その悔しさをはねのけての練習から、大きな成果を出すことができたのが、2018年7月7日のホクレンディスタンス・チャレンジ北見大会でした。
序盤から速いペースで始まった、ホクレンディスタンス5000メートル走で、橋詰選手は冷静にトップグループに付いて行き、最後のスパートで、ケニア出身、コニカミノルタ陸上部所属のサムエル・ムワンギ選手をぶち抜き、トップのドミニク・ランガット選手(同じくケニア出身、コニカミノルタ陸上部所属)には及ばなかったものの、堂々の第2位となり、なおかつ5000メートル青学記録を13分37秒75という記録で塗り替えたのです!
これには、陸上界も相当ざわついたようで、やはり「青学強し!」というイメージを大きく印象付けたようです。
このムワンギ選手は5000メートルの自己最高記録が13分27秒66という選手ですから、橋詰選手は、レース展開をうまく読み、この結果を出すことが出来たのです。
ちなみに、この橋詰選手の5000メートル13分37秒75という記録は、青学記録となったばかりでなく、橋詰選手出身の和歌山県の和歌山県記録ともなりました。
そして、悔しい結果となった2018年10月8日の第30回出雲駅伝では素晴らしいリベンジを果たしました。
結果は、青山学院大学が1位で2時間11分58秒、2位が東洋大学2時間12分10秒という、全6区、六人で走る駅伝として、わずか差は12秒という、息を抜けない接戦でした。
トップランナーといい大役を任された橋詰大慧選手の向こうを張るのは、東海大学3年生、相澤晃選手でした。
相澤選手は、2018年箱根駅伝に2区に出場し、橋詰選手よりも一学年下ですが、駅伝キャリアは豊富な選手です。
その相澤選手が、2018出雲駅伝1区で最も嫌と思っていた選手が、橋詰大慧選手でした。
実は、相澤選手は、橋詰選手が、青学記録を打ち立てたホクレンディスタンス北見大会の5000メートルに出場しており、13分40秒98で第6位でした。
つい3ヶ月前に、実際に、橋詰選手の素晴らしい走りを目の当たりにしているのですから、戦いづらい相手と思うのも無理はありません。
そこで、出雲駅伝当日1区で、ラスト2kmの時点で先に仕掛けたのは、相澤晃選手でした。
その時、橋詰選手は、一瞬迷ったそうですが、「ここじゃない」と冷静に判断し、相澤選手に少し差をあけられながらも自分のペースを保って行きました。
そして最後の1km時点で、勝負に出た橋詰選手は、相澤選手を抜き去り、2区を走る鈴木塁人選手に襷を渡すときには6秒差をつけたのです。
最終的にわずか12秒差のレースでしたから、この6秒差は大きな成果でした。
試合後に、青山学院大学側、東洋大学側ともに、2018出雲駅伝の勝敗の鍵は1区にあったと語っています。
原晋監督も橋詰選手の走りを賞賛していました。
いやあ、見事だったね。あれが橋詰の持ち味です。レースの流れのなかで、冷静に状況判断ができる。焦らないのがいいですよね。6秒差って大きいんですよ。今日の橋詰は最高の仕事をしてくれました
続いて、2018年11月4日開催の全日本大学駅伝(第50回秩父宮賜杯全日本大学駅伝対校選手権大会)では、2区を任されました。
橋詰選手としては初めての全日本大学駅伝出場でした。
結果は、青山学院大学1位、東洋大学2位となり、この大会もライバルは東洋大学となりました。
試合後のツイッターには、皆んなに勝たせてもらいましたとありましたが、確かに、2区を走った橋詰選手は、区間5位と、出雲駅伝ほどは振るうことは出来ませんでしたが、結果的に、東洋大学をじわじわと追い上げていくレースに貢献する走りが出来たのではないかと思います。
全日本大学駅伝優勝できました!
というより、みんなに勝たせてもらいました。。箱根は活躍します!
走るよ。頑張るよ。今日はご声援ありがとうございました! pic.twitter.com/BSH1Yp0Kri
— 橋詰 大慧 (@taisei_0321) 2018年11月4日
本人自身、ツイッターで「箱根は活躍します!」と断言していますから、大いに期待したいところです。
遅咲きルーキーの橋詰大慧選手ですが、4年生最後の年に、初めての三大駅伝制覇を賭けています。
橋詰大慧選手のプロフィールと記録
<橋詰大慧選手のプロフィール>
名前:橋詰大慧(はしづめたいせい)
生年月日:1997年3月21日
年齢:21歳(2018年11月時点)
出身地:和歌山県海南市
出身高校:和歌山県立和歌山北高等学校
大学:青山学院大学
所属学部:文学部・史学科
身長:174㎝
体重:56㎏
血液型:B型
橋詰選手は和歌山県立和歌山北高校の出身です。
その和歌山北高校は、陸上の盛んな高校です。
2010年の全国インターハイで男子総合優勝を果たしていますが。全国インターハイ、男女合わせた中で、今までで和歌山県の高校が総合優勝したのは、和歌山北高校が初めてであり、その歴史はいまだに塗り替えられていないそうです。
のちに早稲田大学に進み、2012年ロンドンオリンピック男子4×100mリレーの日本代表となった九鬼巧(くきたくみ)選手も和歌山北高校陸上部の出身で、このインターハイ総合優勝の時のキャプテンでもあります。
橋詰大慧選手の高校時代の記録は明らかではありませんが、そのように陸上の盛んな高校で、きっちりと練習を積み上げてきたのではないかと思います。
2019年1月2日、3日の第95回箱根駅伝に出場が決まれば、橋詰選手にとっては初めての駅伝となるわけですが、実は、箱根を走ったことがないとは思えないレベルの青学記録の保持者なのです。
2018年7月7日にホクレンディスタンスで5000メートルの青学記録を樹立したということは、前述しましたが、実は、ハーフマラソンの青学記録の保持者が、この橋詰選手なのです。
記録は、2017年3月に出した、1時間2分46秒で、この記録は同じ4年生で2018箱根駅伝の2区を走った森田歩希選手と同じ1位タイ記録です。
そして、10000メートルは、2017年5月の関東インカレで出した28分58秒06で青学第4位です。
箱根駅伝は、三大駅伝の中で最も距離が長く、どの区間も20km以上あります。
ですから、レース運びも冷静で、ハーフマラソンも強い橋詰大慧選手にとっては、実は最も力を発揮できるのが箱根駅伝ではないかと思われます。
悔しい結果となった2017年シーズンを乗り越え、2018年7月のホクレンディスタンスでの5000メートル青学記録塗り替えから、着々と調子を高めていっている橋詰大慧選手。
同期や、後輩が次々と三大駅伝で活躍していく中で、ここまで力を貯め続けてきた4年生はいないのではないかとさえ思ってしまいます。
「次に輝くのは僕です!」の言葉通り、輝く走りを期待したいです!
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